独占欲



「はーほんまに今日の名前はかわいかったなー」
「………」
「なあ、もう一回着よ?俺の前だけで」
「…ヘンタイ」




家に帰ってからはもうずっとこんな調子だった。白石君がひたすら私の昼間のコスプレについて言及してくる。もううるさいうるさい!はずかしいんだよーっ



「白石君のばか、もう知らない」
「ハハ、頬膨らまして、可愛いな」
「………」



なんだか今日は妙にくっつくな、白石君、、、さっきまで2人の間には一メートルくらい距離が空いてたのに、いつの間にか私は足の間にいれて、後ろに座っている白石君。





「…白石君、…何?」
「んー?…なんもない」
「なんか今日、くっつくね、妙に」
「ええやん、今日かわいかってんもん、名前」
「………」
「はあ、なんか、名前の髪いいにおいして、眠くなる…」
「ちょ、かぐな!起きろ!もうすぐ夕飯だぞ!」





そんなこと言ってたら、いきなり白石君に口をふさがれた。わ、ちゅーされた…!!





「!!???」
「お仕置き」
「何の!?」






「2人でいるときに、そんな汚い言葉使わんといて」








白石君は、またボスっと私の顔をうずめて、静かになった。…また匂いかいでる…でも今は其れの方が好都合だった。今白石君に顔を見られたら、絶対笑われる、それほど私の顔は真っ赤だったのだ。しばらくして、下の階から白石君のお母さんが「ごはんよ」と叫ぶ声が聞こえてきた






















「はあ…」


昨日のこともあって、なんか白石君に会うのが恥ずかしくて、結局今日は一人登校した。白石君はずるい。自分のカッコよさをわかってるのだろうか。
だれかに相談したいな、て思うけど、あいにく私にはそんな相手がいない。そう思うと、少し胸が痛かった。












教室へ着くと、一部のメンバーが文化祭の準備を進めていた。私も手伝った方がいいかな、と思い皆のもとへ駆け寄った。








「おはよー苗字」
「おはよ!何か手伝うことある?」
「ああ、じゃあ看板班手伝ってくれる?」





委員の女の子の指示で、看板班の手伝いをすることに成った。ペンキで文字の色を塗っていってと言われ、私はおとなしくペンキで色を塗った。









「へー、結構できてるやん」
「へへ、そうだろー?さっきからずっと塗ってたからな!」
「せやな、今日自分随分早くに家でたもんな」
「うん、今日は一人で学校行きたい気分で…さ…」



あれ…?





「しっっっ白石君!??」
「はは、男装時クンはガンバリ屋さんやなあ。」
「あ…お、はよ…」
「ま、休憩ついでに連れションでもしよや」
「へ…」




グイっと白石君に腕を引かれると、そのままグイグイ引っ張られ、どこかへ連れて行かれた。この方向は、部室。白石君…?







「白石君、どしたの…?なんで部室…」




白石君はだまって歩き続ける。静かに部室の扉をあけると、そこはシンと静まり返っていた。今日は朝連がなかったらしく、誰もいない




「名前、」
「う、ひゃあ」



扉が閉まると同時に、白石君にぎゅうぎゅう抱きしめられる。う、苦しい…!



「し、白石君?」
「なんで先に行ってもうたん?」
「え」
「俺、名前と登校したかってんけど」
「あ…それはその…」





だって、昨日から白石君が妙にくっついてきて、照れくさくて…





「…あ、あの」
「名前は俺と登校したくないん?」
「ち、ちがう、聞いて白石君」






ベリっと白石君をはがすと、なんだかものすごく切ない顔した白石君が。うああ、なんて顔してんの…!一体どうしたの白石君





「し、白石君、昨日からヘンだよ?なんか妙にくっついてくるし、…その、…恥ずかしい…」




顔が熱くなるのが分かって、思わず下を向いた。白石君は黙ったまんま。…うう、どうしたら…






「…昨日の名前がめっちゃかわいかってん」
「…え…」
「…そんで、…めっちゃかわいいし、…他の男も名前のこと好きになるかもって、思って」
「白石君…」
「そんで、独占欲丸出しにしてもうた、…ごめん」



また白石君にぎゅっとされる私。白石君、そんな心配してたの?





「…意外とオトメだね」
「……ええやん、愛の大きさやし」
「……大丈夫、大丈夫だよ、学校では、男だから」




だから、大丈夫だよ、と白石君の背中をポンポンとなでてやる。そしたら回された腕にまた力がこもった。






「…ごめんな、なんや恥ずかしくなってきた」
「恥ずかしいのはこっちだから」





ふふ、と笑うと、白石君も、やさしく笑ってくれて、またやさしいキスが降ってきた







「名前、可愛い、めっちゃすき」
「わ、たしも」




ガチャ






「……あらぁ、2人とも仲良しやなあ」







急に開いた扉、そこには小春ちゃんが立っていた。少し油断しすぎたようです。







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