子犬の目


あれから数日。そろそろ学校が学園祭ムードになってきた。私の前の学校は、こんな感じの学園祭じゃなかったから、このムードはすごく楽しい。今は放課後、クラスの皆で出し物の話し合い中だ


「それじゃ、メニューは実家がカフェの浅川さんに任せるということで。料理担当は女子、ウエイトレスは男子、呼び込みは男女両方で」


委員長がまとめに入った。ウエイトレス男子って…女装喫茶ホントにやるんだ…私は絶対女装しないけど



「じゃ、次に僕たちで勝手に選出した女装担当の男子なんだけど、ガチなかわいい系で苗字、高岡、朝倉で、呼び込み担当が白石と忍足。で、ネタ担当が岡崎と山本でどうかな」

「はい異議あり異議あり!!!」
「はい苗字君ドーゾ」
「俺やりたくない!!」





なんだ今の流れは!ガチなかわいい系って、無理、無理すぎる!私が異議を唱えたら、隣に座ってた謙也からブーイングがきた


「あかん!!女装は男装時がやらなあかんねん!この女装喫茶にした意味がないんや!」
「何言ってんだお前」






謙也はもう放置。私は白石君にヘルプの視線を送ってみた。だけど返ってきたのはにーっこり笑ってる白石君で、ああもう駄目だと思った。





「…あの…」




そんなとき、静かな高い声が教室に響いた。




「…あの…私…私も、苗字君にぜひ女装してもらいたくて…もう衣装も作っちゃったの…」
「え…」



声の主は衣装担当の春野さんだった。結構控え目な性格の、かわいい女の子。確か家庭部だった気がする



「…だから、お願い苗字君、女装、してくれない、かなあ」
「…う…」




まるで子犬のような瞳で訴えてくる春野さん。なんだよ、こんなの、こんなの、














「……わ、…わかった、よ」




断れるわけないじゃんー!



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