三度目の会話




「…ただいまー」




家に帰ると、いつものように木村さんが迎えてくれた。




「おかえりなさい、お嬢様」
「…あ、そっか、私女に戻ったんだった」
「はい?」
「ただいま帰りました」
「…はあ…」





言葉づかいも、直そう。ちゃんと、女の子に戻るんだ、心機一転。もう夏休みだし、ちょうど良かったな。






「おかえり名前」
「ただいま、お母さん」
「…あら、なんか帰ってくるの早くない?」
「…そう?普通だよ」






荷物を木村さんに渡して部屋へ戻る。部屋の化粧台にすわって、鏡で自分をみた。…髪、伸びてきたな…。このまま、伸ばそうかな。黄色いジャージを脱いで、クローゼットから白いワンピースを取り出して、着替えた。






「…うん、女の子に見える。」






うん、大丈夫、大丈夫。私、女の子だ。
















それから数日がたった。一応、白石君にメールしといた。







白石君へ
家の事情でしばらく海外に行くことになったよ。だから、部活にはいけません。皆もう受験勉強に入るのかな?またメールください。










ピピピ



「あ、返事だ」







一応一週間後に青学と練習試合あるし、当分皆部活いくでー。まあここだけの話、皆勉強せんでもスポーツ推薦で上あがれるしな(笑)あ、お土産よろしくな









なんか、マイペースなメールだなあ…。そっか、皆部活行くんだ。それにしても、スポーツ推薦て…せこい…










「…部活、見に行こうかな…」
















夏休み、2日目。たぶん今日は部活があるだろうと思い、私は例のウィッグをかぶって、今日は黒のワンピースを来て、日傘をさしながら四天宝寺へと向かった。つばの広い帽子を深くかぶって。…大丈夫、ばれないよね、たぶん。







あの仰々しい門をくぐると、見慣れたテニスコートが広がっている。私は策の外から、眺めた。すると白石君が私に気づいて駆け寄ってきてくれた






「…え、もしかして、名前ちゃん?」
「…そうです、白石君」
「あ、もしかして練習、見に来てくれたん?」
「うん、…こないだは、お疲れ様」
「おおきに、わざわざ東京まで、応援きてくれやんな?」
「…うん、試合、見たかったから」
「そっか…めっちゃうれしかったわ」
「今日も練習なんですよね、」
「せやで、よかったら見てってや」
「ありがとう。…夏休みになったから、時間ができたの。できるだけ、見に来ようとおもって。…迷惑、かな?」
「そ、そんなことない!ってか、めっちゃ嬉しい」
「ふふ、ありがとう」







白石君に、がんばれって言って私は木の陰に座った。ガンバレ、白石君















「ええなー白石、あの子また来とるやん」
「ああ、ほんまに嬉しいわ」
「はあ、ええなあお前、めっちゃかわいい子に好かれて。お前目当てじゃなかったら俺絶対あの子好きになっとったわ」
「あほ、やめとき」
「ま、今は男装時がいるからええけど!」
「ホモやん」
「うっさい!」




めっちゃどきどきした。まさか名前ちゃんが来てくれるなんて。苗字がいなくてテンション下がっとったけど、全然いけそうやわ。って!俺が好きなんは名前ちゃん!こないだのアレは気の迷いや!







「…よっしゃ、カッコええとこみせたろ」




気合い入れろ、俺。



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -