ふぁーすときす


白石君の家に来て、もう二週間がたった。その間、私は部活は休ませてもらっていた。夏休み明けの方が、キリいいしね。ちなみに漫画みたいな、「ばったりお風呂かぶっちゃった!」とか、「着替え途中に部屋はいっちゃった!」みたいなドキドキハプニングは起こっていない。当たり前だ






「明日から、学校かあ、早いもんだなあ…」
「ほんまや、名前宿題終わったん?」
「終わったよ、バッチリ」
「さすがやん、じゃ、今日は一日のんびりできるんやな」





そんな会話をしていたイン白石君の部屋。私はベッドに寄りかかり、白石君は机で何やらやっている模様。そんな白石君が手を止めて、何やらイタズラっぽい顔で私を見た





「…なに?」
「んー?別にー」
「…なに、言ってよ」
「いや、明日から、また名前が男になるんやなって」
「…そりゃ、仕方ないじゃん、」
「ってことは、今日で一日中女の子の名前は見おさめってわけやろ?」
「う、ん。そだね」
「なあ、…時間もあるし、彼氏彼女っぽいことでもせん?」
「…え…」






そう、平凡な日々が一番、っていうけど、平凡すぎて私は白石君と全く彼氏彼女みたいなことしてなかったのだ。別にお風呂被っちゃったり、着替え途中入ってきたり、してほしいわけじゃないけど、







…ちゅーとか、はぐとか、そういうのは、したいなあ…なんて










「だ、だだだだめにきまってるだろばか!」
「えーなんでなん?」
「だ、だって、下におばさんが…っ」
「おかんなら昼間はめったに二階上がってこーへんで」
「で、でも…」
「な、あかん?」






白石君はイスから降りると、私の後ろのベッドに片手ついて、ずいっと顔を寄せてきた。わ、きれいな顔…ってそうじゃなくて!わーもうドキドキしてしんじゃう








「…じゃ、ちゅー、だけしよ?」
「ええの?」
「うん、…一回だけね、」
「はは、てれとるん?」








「…ほんま可愛いわ」









一瞬だけ、唇に、ふにって、あったかい感覚がして、目をあけると、優しく笑う白石君がいて、また胸が、ギュっとなった





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -