ずっと一緒にいようよ
「そんなの、絶対許さん」
白石君にきつくきつく抱き締められて、転勤とかどうでもいい、みたいなほわほわな気分になってしまった。頭をぶんぶんふって煩悩をすてて、白石君と向き合った
「…わ、私も、いきたくないの」
「いや、てか行かせんし」
「…でも…」
「せやから、俺んち、来たら?」
「…は?」
思わずマヌケな声が出てしまった。だって、え、どういうこと?
「…あの、それは、どういう…」
「せやから、俺の家に居候したらええやん」
ええええええええ
いやまてまて、それはちょっと…!精神的に無理っていうか…!て言うか若い男女が一つ屋根の下…いやあああ
「いや、いやじゃないけど」
「何独り言言うてるん?」
「あ、ゴメン」
「ええ案やろ、」
「…う、ん。まあ…」
「俺の家は全然構わないで。むしろ、ウェルカムや」
「……お母さん、なんていうかなあ…」
「俺がいったるって」
「え?」
「俺が名前ちゃんのお母さん説得したるわ」
「…それ、本気なの?」
白石君は普段から決断力もよくて、頭の回転速くて、すごい人だっていうのは知ってたけど、今日はいつもに増してすごくないか?そんなぽんぽんさっきから色々言ってるけど、内容結構大事だよ…!
「本気やけど」
「……でも」
「俺名前ちゃんと離れないもん。名前ちゃんは、ちゃうん?」
「え…」
真剣に見つめられた目に、瞬きもできなかった。
「…私も、そばにいたい…」
口から、虫の息みたいな声で、本心が出た。その言葉を聞いて白石君はにっこり笑い、また私を抱き締めた。
この人となら、ずっと一緒にいれる気がした