繰り返す
私は別にあのイケメン君たちの友達でもなく、いたって普通に客と店員だ。もちろん絡んでくるのも向こう。私は一切自発的にからもうとはしなかった。なのに、なのに、まさかこんなことになるなんて…
「…それはつまり、クビ、ですか」
ぼうっと死んだような目で見つめるのは、コンビニの働かない店長。
「そこまで言ってへん、君は深夜に入ってくれる貴重な存在やし、手放したくはない」
話のいきさつはこうだ。深夜のコンビニに女一人で働かせていた店長はそのことを上から咎められ、仕方なく問題が起きてないか防犯カメラの中身をチェックしていたらしい。で、そこに映ったのはいつものイケメン君たちと私。しかもそれが毎日続くものだから、店長は私が深夜のコンビニで、友達とおしゃべりにいそしんでいるものだと勘違いをしたらしい。そしてその結果、私の処分はこれだった
「勤務地を移転?」
「ああ、こことは大分遠いが、まあチャリで20分てとこやな」
遠い。そんな、家に近いからこの場所を選んでたっていうのもあるのに、そんなひどい。ひどすぎる。でも仕方ないか。あああ、悪いのは私じゃないのに
「で、場所はどこです?」
「ホラ、あの有名な学校の近く。寺の近くにあるあの…」
「どこですか」
「えっと…せや、四天宝寺!四天宝寺中学の隣にあるコンビニや」
「え、めっちゃ遠いじゃないですか」
「ま、仕方ない、次は頑張るんだぞ」
「ハイ…」
はあ、もうついてない。くっそ、やられた。あのクソガキども、いくらイケメンだからといっても許せん。まあもう会うこともないだろうし、忘れよう。私はお金を稼ぐために生きていくんだ。サヨナラ、楽しかったイケメンコンビニ生活…
そしてまた、同じことを繰り返す。
END