ってそれかい
はいはい今日も夜勤ですよー。頑張るぞー。とくに忙しい事もなく、そのくせ時給は高い、うん、最高だと思った。さて今日はどんな客がくるのでしょう。また、イケメンはくるのかな?今日は少し積極的に、棚の整頓なんかをしたみた。お菓子の袋が怖いくらい綺麗にならばった。うん、自己満。満足満足。
ピンポーン
誰かきたようだ。私は気の抜けた声で、こんばんはいらっしゃいませー、と言う。少しだけチラ見すると、それはもうイケメンの中のイケメン。なにあれ!王子様?!みたいなベタな反応をとってみる。彼は飲み物のコーナーをじーっとみている模様。私はひたすらその後ろで、
パンのコーナーを整頓していた。うーわー、イケメンだイケメン。
がしゃん!
わお!やっちまった!今度は私がパンの入ったダンボールをひっくり返してしまった。だあああ恥ずかしい。
「大丈夫?」
手を差し伸べてきたのは、あのイケメン。こんな事言うのもなんだけど、君のせいだよ。君がイケメン過ぎて見入ってしまったんだ!
「あ、ごめんなさい」
「手伝うわ」
彼は私がぶちまけたパンたちを拾い始めた。あれ、よくみると彼の左手に包帯が。怪我してるのかな?一応相手客だし、しかも怪我してるならなおさらだ、やめさせよう
「あの、大丈夫です、私一人で片付けます」
「ええよ別に。ひとりじゃ大変やろ」
「でも…お客様、手…」
「え、ああ、これな、飾りみたいなもんやし、怪我しとるわけやないで」
「あ…そうなんですか」
どんな飾りよそれ
「よっしゃ、片付いたな」
「申し訳ありません、」
「ええよ。あ、これ、もらえる?」
「あ、はい。ありがとうございます」
彼は甘い顔でにこりと笑い、商品を私に渡した。私はその瞬間吹き出しそうになった。デジャヴ。だって、誰も買わないから廃棄寸前になってた青汁を買っていったんだもん。やっぱりイケメンでも完璧なイケメンはそうそういないよね。そう思った深夜だった。