犬猿の仲




「ごめんなさい」

「な…なんで!?」


いやなんでもなにもないだろ。うん、この人苦手。



「だって好きじゃないし…」

「あ…あり得ない…この僕をふるなんて…」


だめだこの人。ナルシストだったんだね。いやだー


「じゃ…じゃああたしはこれで。部活があるから」


屋上をさろうとしたら後ろから待ってだの考え直してだのウザイ言葉を連発する健君。とりあえず全部無視してドアを開けて校舎に入ると、そこには覗き見していた愛子と白石がいた。


「………悪趣味」

「ちゃうねん、白石が見たいゆうて付き合っただけやねん!」

「………フハハハハ」


なに白石。きもい



「振られとる!あほや朝倉!」

白石はそう叫びながら屋上にでて振られたばかりの健君に喧嘩をうりはじめた。



「あ、そういえば仲悪いんだっけか」

「あの二人、クラスで一番かっこいいいわれとる奴らやで。せやからいっつも二人で競ってん。健君やてサッカー部エースやし」

「かっこいい?あの二人が」

「失礼やで名前。言うと思たけど」



うーん、みんなの考えがよくわからない。白石は絶頂野郎だし健君はナルシストだし、どっちもどっちじゃないのかな…



「だまれ白石シネ」

「ほんまに死んだらお前のせいやで!」


しかも喧嘩が低レベルすぎる。あたしは白石の襟を引っ張って部室まで引きずっていった。白石は引きずられてもまだ健君に向かって叫んでる。本当は仲良しなんじゃないのかな。







「名前名前、」

「なに?」



叫ぶ白石を引きずっていると横からニヤニヤした愛子が話し掛けてきた。


「あんな、さっき千歳君もあたしらと一緒に告白現場のぞいてたんやで」

「え…」

「すぐかえってもうたけど、愛はほんまやな!」

「……………」



千歳も見てたんだ。少し見られたくなかったという気持ちに襲われた。







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