やってしまった
「名前!おはよ!」
「……………おはよ」
「うわ…なんやのそのクマ」
「あはは…色々あって」
「どないしたん?」
「…………………」
▽
「泊まった!!??」
「声でかいから…」
昨日ハウルを見てたらいつの間にか千歳は寝てしまっていた。置き手紙でもして帰ろうかなとか思ってたけど、あたしはとりあえず食器くらい洗わなきゃと思って洗い物を始めた。千歳はかなり眠りが深かったらしく呼んでも全く無反応。しかもあたしは洗い物が終わった途端どっと疲れに襲われてそのまま千歳と寝てしまったのだ。
『…………はっ…い、今何時…』
『…ん?名前…もう朝…?』
『朝の五時…』
やってしまったと思った。一緒に寝ちゃうなんてあたしどんだけばかなの?千歳は寝呆けててしばらくぼーっとこっちを見ていたけど、しばらくして状況がのみこめたらしくちょっと顔を赤くして『す…すまんばい』と謝ってきた。まあねちゃったあたしも悪いんだけど…。その後少し落ち着きを取り戻し、2人とも風呂に入って(もちろん別々!)ご飯食べて一緒に登校してしまったのだった。
「なるほど〜、ただのあほやな」
「…返す言葉もないよ……」
「せやけど千歳君、絶対名前に気あるで!」
「へ?」
「夕飯誘ってしかも寝るやなんて相手に安心感やら好意やらあるからに決まってるやん」
「あ〜…まあ好意は確かだけど…」
「え…っどういう意味やねん」
「昨日告白、された…」
「………え――――!!」
だから声がでかいよ。愛子は顔を真っ赤にしてまるで自分のことのように喜んでいた。
「なんやねん!はよ言って!」
「だって昨日だったんだもん」
「はー、にしても千歳君か〜、名前に合ってないわけではないな」
「え」
「マイペースで話聞かない名前にマイペースで放浪癖のある千歳君、まあまあやな」
「そんなこと言ってもねえ…」
「なんやねん、もうつきあっとるやろ?」
「ううん」
「は!!!????」
「だから声がでかいよ…」
「なんで!?いみわからん!」
「だって千歳のこと特別すきってわけじゃないし…」
「……あ〜…、苦労しそうやな、千歳君」
▽
「名前―、部活いくで―」
SHRが終わると白石が声をかけてきた。あたしは思わず『今行く』と言いそうになったが、結構大事な用事を思い出した。
「ごめん、あたし今日部活遅れる」
「へ」
「すぐいくから」
あたしは少し急いで荷物を持ち教室を出た。
「愛子―、名前の用事てなんや?」
「あ〜、あれやって。健君の告白の返事」
「…………!!!!!!!!」