君の瞳に恋をした
「作りたくなかったって…名前今までずっと一人暮らしやろ?ちゃんと炊事してたんやろ?」
「………うん」
「なんでや」
「…………忘れちゃった」
「…へ」
真っ白の世界がゆがんだ。前もこんなことあった。あたしが泣くことなんてめったにないから、涙で世界がゆがむこともめったにない。
「名前、どうしたんだよ」
自然と出てきた涙を跡部が拭いてくれた。でもごしごししすぎ。痛いって。いつも思うけどあたしの周りの人っていい人ばっかだよね
「……今までどうやって生活してたんだろ」
「……名前?」
「……千歳がいなかった頃の事、よく思い出せない…」
悲しい。寂しい。こんな感情が一気にあふれてきたのは多分これがはじめて。多分もう隠せない。ほんとはずっとわかってた。でも認めたくなかっただけだ。もう千歳がいないとまともに生活できないくらいあたしはダメになっちゃったんだ
「千歳に会いたい…」
君の瞳に恋をした
(ずっと好きだったんだよ)
(だから早く帰ってきて)