最悪な遭遇


やってきたのは大阪でも有名なデパート。地下はケーキやらお菓子やら甘いものが売ってるから甘ったるいにおいがする。いいにおい。そしてわたしはヒラヒラの服を着て両親と地下でアイスを食べているのだけれど、目の前に見慣れたジャージ集団がいる。なんなんでしょうねまったく



「あれ!?名前やんか!白石白石〜!」

「なんやねん謙也…って名前やん!自分、えらい格好しとるなあ」


はあ、アホ謙也が仲間を呼び寄せた。最悪だ・・・ぞろぞろと集まってくる四天宝寺テニス部の方々。ああもうタイミング悪すぎ!ていうかヒラヒラ見られた…



「なあに名前、お友達?」

「お、もしかして例のテニス部の子たちか?」

「…………はあ」

「あ、どうもこんにちは〜部長の白石です、お世話になってますいつも」

「もうやだあたし帰る」

「ちょっと名前、食べてる途中で席を立つだなんてはしたない!」

「は、はい……」



お母さん怖い。でもあり得ない!!お父さんは白石と謙也といつもお世話になってますみたいな話をしててお母さんは小春とユウジの漫才を遠山君と一緒に笑ってみてて…なんという状況…(財前君がちゃっかり謙也のアイスまで食べてるし)



「名前、明日も8時半から部活やからな」

「あ………うん」

「ほな失礼します」

「さいなら〜名前また明日な!」


皆はあたしとお母さんお父さんに挨拶しながらアイスを持ってデパートを後にした。はあ、余計疲れたよ………



「なんだか面白い子達ねえ」

「礼儀正しいし、よさそうな部活だな」

「(それは仮の仮の姿だわ)」











あたしはお母さんお父さんにひかれるままデパートをぐるりと一周し、昼は最上階のレストランに入った。うわあ高そう…



「お母さんあたしさっきアイス食べたからお腹はあんまり…」

「そう?じゃあお母さんの一緒にたべればいいわよ。あんた小食ねえ」

「普通だよ」

「それになんか痩せた?」

「さあ…部活のせいじゃない」



適当に受け答えしているうちに豪華な料理が運ばれてきた。うわ、一人分がこんなに…うぷ



「名前、学校のほうはどうだ?」

「……楽しい」

「あんた友達できたの?」




友達…?愛子くらいかなあ。



「一人」

「…あんた進歩しないわねえ」

「まあ、一人でも友達がいるのはいいことだし、それに名前、少し喋るようになったんじゃないか?」

「確かに…まえは話してても『うん』とか『へえ』みたいな返事しかしなかったもんね」

「……………………」



ホントにみんな同じように言うよな。あたしってそんなに変なんだ……



「まああの部活の子たちと一緒にいたら無理にでも話すようになりそうだしな」

「そうねえ…、名前彼氏とかできたの?」

「は………?い、いないから」

「なんだつまんないわね。さっきの白石君だっけ?すごい美少年じゃない!感じも良さそうだったし、あの子なんてどう?」

「あのねえ…白石は友達だから」

「つれないわねえ」




お母さんは少しつまらなそうな顔をした。白石が彼氏?ないないない。ていうかテニス部が彼氏になることはないだろう。だってなんか面白いもん、あたしが謙也とかユウジとかと付き合ったら






(じゃあ千歳は…)




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