大ピンチ


ピピピピ…


めったに鳴らないあたしのケータイがなっている。絶対お母さんだなこれは。



「はい」

『名前?お母さんよ〜』

「はいはい。何?」

『何って明日のことに決まってるじゃない!お母さんたち、今夜飛行機にのって明日の朝8時くらいにつくから」

「今夜って…それ何時に乗るの?」

『ん〜お父さんがチケットとか取ってくれたからお母さんはよくわかんないけど、まあ日本で言ったら真夜中よ真夜中』

「あ、そう…」


お母さんて本当に適当だなあ。その辺はあたしは純粋に遺伝していると思う


『そういうわけだから、明日は朝から出かけるからね、ちゃんと朝起きとくのよ〜』

「わかったわかった」

『あ、服はお母さんが見立てて名前にピッタリのやつを買ってきたから用意しなくていいわよ』

「えぇ…お母さんの趣味ってどんなんだっけ」

『かっわい〜やつよ!本当に名前にピッタリ。まあ楽しみにまってなさい。それじゃあもう切るわよ〜。今から準備しなきゃだから。また明日ね』


ブツッ


「き…きれた…」


なんだか明日は大変な一日になりそうだなあ…。あたしはとりあえず今日は早く寝ることにした。










ピピピピピピ


「う…今…何時…」


目覚ましを見ると7時。よかった。寝坊はしなかったらしい。お母さんたちは多分空港からタクシーで来るからつくのは8時半から9時かなあ。



「ご飯…は、いっか」


絶対今日は高級なところに行くんだろうし、朝ごはんは抜きでいっか。







「おはよーさん」

「白石ー!名前は!?」

「なんや金ちゃん、昨日帰り道いっとったやろ。今日名前は父さん母さんが帰ってくるんやて」

「名前のおとんとおかん…?どっから帰ってくるんや」

「確か名前ちゃんのご両親は海外に転勤したって聞いたで」

「転勤…?」

「金ちゃんと話すのは困難やな」

「先輩、今日のマネージャー業だれがやるんですか」

「普通やったら後輩のお前がやるっちゅー事になるけどな」

「そんならヘタレの謙也さんがやるっちゅー話ですわ」

「なんやねんそれ!ようわからんわ!」

「とりあえず今日はみんなで手分けしてやるしかないなあ。金ちゃん、ちゃんと手伝うんやで」

「まかせときー!」










服はお母さんが持ってきてくれるらしいから、あたしはパジャマのまま顔だけ洗って髪をとかして結構変な格好でテレビを見ていた。


「(あ…。部活始まった)」



時計が8時半をさしている。部活にいかないのって、いつぶりだっけ…



ピンポーン…




「あ、きた」


あたしはテレビを消して立ち、玄関へ向かった。



ガチャ…
ドアをあけるとそこには久しぶりのお父さんとお母さんが。お正月以来だから本当に久々に思えた



「名前、久しぶりだな」

「名前〜!元気にしてた?」

「うん。元気にしてたよ。あがって」


あたしは二人分のスリッパを出して部屋へ上がった。あ、やばい。こないだのまんまだからお茶だせないや(進歩ないよね)




「あら、ちゃんと片付けてるじゃない、関心関心」

「…これはただ単に物がないって言うか…」

「うるさいなあ」


みんなおんなじこというんだから、失礼だな。



「あら名前、お茶ぐらいだしなさいよ」

「えっ」

「…?なあに?」

「いや…別に…」

「何よ、早くお茶入れて」

「……」



あーもうどうしよう。お茶とかないから!かなりピンチだ…。あたしはどうしようもなく台所でうろうろしていた。


「名前」

「うわあ!」

「何してるのよ」

「お、お母さん…」



ああもうだめだ



「ちょっと冷蔵庫見せて」

「え、ちょっと…」



カチャ…



「……なんだ、いろいろ入ってるじゃない」

「え」

「お肉も野菜も買ってあるし、でもどうしてお茶だけないの?」

「え…あ…あはは」

「でもよかったわ。ちゃんと炊事してそうで」



すみません。してません。千歳…なんか別の意味で助かったよ。買い物つれてってくれてありがとう…





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