謙也の災難




鬼や。なんで侑士は俺に跡部からの伝言メールしてくるんやろ。名前のアドレスしっとるんやから直接名前にメールすればええのに。多分あいつも名前の無愛想な返事を跡部に伝えるんがいやなんやな…。せやかてこれはないやろ!ていうか侑士グルになるな!


To:謙也
Sub:Re
8/1(Wed)6:27

今日大阪行きます。
跡部と。

―END―



なんやねんこれ。しかも昨日侑士が跡部連れて大阪くるやなんて思わんかったからつい名前と部活のみんなとでラーメン屋いく言うてもうたわ。そのあとに侑士が無駄にラーメン屋の場所聞いてきたし…。これはもう侑士と跡部がラーメン屋にくるってことやんか!!!また名前にどやされるわ…どないしよどないしよ









「先輩、隣座ります」

「財前君、どーぞ」



皆か餃子をたのむかどうかもめている中から、水を持った財前君がテーブルの方へやってきた。



「…財前君は餃子頼まないの?」

「そんな金ないんで…あの中暑苦しかったし」



向こうでは遠山君と小春とユウジがもめている。確かに暑苦しそう………


「……………」

「……………」

「………先輩」

「ん?」

「……さっき物凄い人見かけました」

「へえ。誰?芸能人?」

「…………秘密っす」

「へ?(だったら報告しないでよ)」








あかん、どないしよ…。もう逃げるしか手があらへん。このままここにおったら俺が侑士と跡部にラーメン屋の情報漏らした事が名前にばれてまう…!



「し、白石〜ちょおトイレ」

「ん、はよ戻ってこんとラーメンのびるで〜」



苦笑いしながらその場を離れ、俺はひとまずトイレに逃げ込んだ。その後侑士からメールもないし、もしかしたら大阪くるなんて嘘かもしれんしな!!……あれ、なんやトイレのドア開けたら見慣れた長髪のメガネの男がおったわ。



「あれ謙也やんか」

「死ね侑士。なぜここにいる」

「なにいうとるん?今朝メールしたやんか、大阪くるて」

「………ホンマやったんやな…」

「おい忍足、はやくドア開けろ………って大阪の忍足じゃねえか」

「うわ…ほんまに跡部おるわ…もう名前に今度こそ嫌われるわ」

「え、名前ちゃんおるん?奇遇やな」

「なにが奇遇や!名前目当てではるばる東京からきたんやろ!」



侑士は苦笑いしながら俺をなだめた。すまん名前、俺は名前を跡部の魔の手から守れんかったわ………………




▽おまけ


午後7時

ピピピピピ…


「ん?お、侑士から電話や。もしもーし」

『謙也?久々やな〜』

「なにいうてるんや。あんだけ跡部の伝言メール送ってきたくせに…」

『はは…、まあええやん。明日も部活か?』

「おう。朝から部活やで」

『ほお、そのあとは?』

「え?あ―、部活の皆でラーメンたべいく予定やけど」

『ラーメン?へえ〜それ名前ちゃんもいくんか?』

「ん?ああ、まあ」

『ほ〜』

「なんやねん、へんな奴やな」

『なんもないて。どこのラーメン屋いくん?』

「え?……学校のそばのやけど」

『ああ、前俺が大阪いったとき一緒に行ったとこか?』

「そや。なんでそないなこときくんや」

『気分や気分。じゃ、また連絡するわ』


ぷつん


「うわ、切りよった。なんやねんあいつは…」






次の朝



ピピピピピ


「う………もう朝かい…早すぎるわ………ん?」



携帯のアラームを切ろうとしたら新着メール一件、なんやねんこんな朝から



To:謙也
Sub:Re
8/1(Wed)6:27

今日大阪行きます。
跡部と。

―END―



「な………なんやこれ…」



そして現在に至る。






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