一番安いので
ピピピピピ…
「…う………朝?」
うるさい目覚ましを止めるとカーテンから眩しい日差しが差し込む。今日も部活だ。
「………ご飯……」
ご飯つくらなきゃ、ああめんどくさい。カップ麺じゃだめかな。でも千歳がしっかり買ってくれたのに………
「……ごめん千歳」
結局あたしは何も食べずに部活にいくことにした。でもめんどくさいんだもん。ドアに鍵がかかったのを確かめてアパートを降りると白石がいた。
「あれ。白石」
「おはよーさん」
「なにしてんのこんな朝早くに」
「いや、学校まで一緒にいこかなーおもてな」
「…ふうん」
「名前今日は飯食うたんか?」
「え、うん」
「へ〜」
うそついちゃった。なんなんだろ。今日の白石よくわかんない。そのあとは特に対したことない話をしていた。
「そいえば今日昼飯みんなでラーメンやて」
「え」
「金持ってるか?」
「持ってない…」
「ま、ユウジやらが貸してくれるやろ」
「うん」
ラーメンかあ。なんか久しぶりだなあ。でもこれで昼御飯は確保できたってことだ。よかったあ。学校に着いて部室へ向うと皆はもう着替えて外に出ていた。
「あ〜名前に白石や!」
「お、金ちゃん今日はやいやん」
「やる気十分や!」
「………あれ?謙也、何してんの」
謙也だけがなんだか草むらに隠れようとしている。なんか青ざめてるし
「わ!名前…!こっち来んなや」
「…?何…?」
「……………す、すまん名前―――!」
謙也はそう言い捨ててどっかに走っていってしまった。さすがに走るのが早すぎて引き止められなかった。引き止める気にもならなかった。
「なんだったの…」
「さあな。あんなヘタレほっとき」
▽
その後12時まで部活をしてあたしたちは近くのラーメン屋へと向かった。謙也は相変わらず挙動不審でよくわからない。
「めっちゃ腹へったわ―!」
「小春なにたべるん―」
「ん―塩やな」
「んじゃ俺も―」
「名前は?」
「…一番安いの」
「じゃ、しょうゆやな」
今日もつかれたなあ。あたしは先に席に着いて水をのんで一服した。ラーメンちょっと楽しみ。みんなは餃子ならなんやらを選んでぎゃーぎゃー言っていた。あれ、謙也だけ携帯いじってる。なんなのあいつは