皆で保健室


「・・・迷惑かけました」



高橋事件のあとあたしは探しにきてくれた皆と一緒に真っ先に保健室へむかった。高橋さん、あたしをなにで殴ったんだろう。こんなでかいタンコブははじめてみた、


「よし、できた。名前、今日は一日中氷で冷やしとるんやで」

「愛子・・・。なんか大げさじゃない?」


たんこぶなのに愛子に包帯を巻かれてしまった。やだなあこんなの。仮装によけい磨きがかかってしまいそうだった。


「・・・てことはその高橋っちゅーやつは名前がコンプレックスやったってことか」

「なんや謙也が物分りええなんてめずらしいわ」

「白石しばくで」

「名前ちゃんが無事でなによりや!」

「なあ名前仕返しせんでええの?」


なんかユウジ怖いことさらっといったな。あたしは苦笑いをして適当に拒否した。皆あたしの心配や高橋さんについて話していたけど殆ど頭の中に入ってこなかった。







『名前、俺名前のこと愛しとう』

『え・・・?』

『俺本気ばい』


いつもの千歳じゃないようでドキンとした。でも浮かんでくる言葉は何も無くてあたしはただひたすら黙ってしまった。


『名前ー千歳ー、いくでー』



向こうから白石たちが呼んでいる。千歳はあたしから顔をそらして白石たちのほうへ行ってしまった。



『・・・・・どうしよ・・・』









さすがにあたしでもあれだけはっきり言われればわかる。でもどうしよう。千歳は部活仲間で、サボリ仲間で、それで・・・恋愛の対象というものではなかったのだ。



「よし、それじゃあ行くか。」

「名前、今から片付けやで」


白石と愛子が立ち上がると皆も保健室から外に出た。千歳もあたしの方は見ないでそのまま保健室を出て行ってしまった。


「あ・・・・(いっちゃう)」



少し小走りで千歳を追って外に出た、そしたらたんこぶがズキズキしてクラっとなる。ああもう、たんこぶってこんなに強力だったんだね。



「千歳」

「・・・・名前・・。」

「あのね、その・・あたし千歳のこと恋愛対象には・・・・」



ああ、ズキズキする。頭も心も。斜め下に向けていた視線を千歳に戻すと、千歳はにっこり笑ってて、


「急にすまんばい。でも、これからちゃんと名前が俺んこと好きになるよう努力するたい」


「え・・・」

「あきらめんから」




千歳は片付けいってくる、というと走って教室へ戻ってしまった。


「なんや名前千歳と何はなしとったん?」

「・・・・・べつに」



胸がずっとどきどきしてたのはどういう感情によるものなのかわからなかった





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