久しぶりの帰り道
「死ぬ!!!!」
クラスに響き渡った死ぬ宣言。いったいなんなんだ
「死ぬ!!あたしは死ぬ!!」
「ちょっと愛子…、もう少し静かに…」
「うるさいわ!これやから頭のええやつは」
「…あのねえ…」
「はあ、死にたい、どうせテスト受けたって返ってくるのはボロクソな点数やねん」
「でも今からテスト始まるし…」
今日はテスト一日目。今日明日は期末テスト。それが終われば夏休み到来である。
「ええかー、カンニング禁止やでー、あと最後まで諦めんこと、それじゃはじめ」
間の抜けたスタートでテストが始まった。はっきりいって楽勝だった。これでも学年一位だから。(自慢です)テストは残り30分の時点でもう終わってしまった。ああ、暇。暇だ暇だ。今日は天気もいいのに…。屋上に行きたいなあ…
▽
「死ぬ!!!!!」
「またか」
「あ〜もうだめや」
「もう一日目終わったんだからいいじゃん」
だらだらとテストを受け、テスト一日目は案外すんなりと終わってしまった。疲れたー、今日はどうやらテニス部全員で帰るらしい。にぎやかになりそうだなあ・・
「死ぬ…死ぬ…」
「愛子、やめて」
「はああ、憂鬱でたまらん、部活したいわ」
愛子はひたすらため息をついてる。でもあたしはそんな彼女を放置して荷物を持ち門へと急いだ。
▽
「名前ちゃ〜ん」
「名前ーーー!おっそいで!」
小春の生々しい声(?)と遠山君の騒がしい声が耳に響く。ああ、なんかひさしぶりだ。たった一週間部活がなかっただけなのに。その集団の中にはしっかり千歳もいた。そういえばテストは受けたのだろうか。
「は〜疲れた!テストもあと一日やな」
「白石〜たこ焼き食べたいねん」
「そういえば、夏休み合宿あるんか」
「金ちゃん、たこ焼きはまた今度や」
「おい白石聞け!」
「なんやねん!今しゃべってるやろ」
「小春小春〜今日のテストどやった?」
「楽勝にきまっとるやん〜」
騒がしい。その一言だけだった。なんでこうまとまりがないのだろうか。(謙也スルーされてるし)
「白石!!」
「だー、静かにせえ、なんやねん」
「夏休み合宿あるんかっちゅー話や」
「ああ、あるでもちろん」
「うわ、あんのかい。はよいえ」
そうそう。はやくいってよね白石め。こっちは準備が大変なんだから。
「あ、白石」
びっくりした。さっきまでぼーっとしてた千歳が急にしゃべった。
「なんや千歳」
「俺合宿まで部活いけるかわからんばい」
「え、なんでなん?」
「九州に帰る」
九州…?そうか、忘れてた。千歳は九州人じゃないか。里帰りかあ。夏休みだもんな。九州っていったらお土産は何なんだろう。
「あ、そうやな。少しでも帰らんと親不孝やしな。いつ帰ってくるん?」
「わからんばい。とりあえず合宿の前までには戻るたい」
あたしはこのとき気づいてなかった。千歳が九州に帰るって事はこれからご飯も帰り道も全部一人なんだってこと。