気のせいじゃないの




苗字のやつ、様子おかしかったけど、やっと俺の肩借りて寝始めた。謙也のいびきをバックミュージックに、隣ではかわいらしく寝てる苗字。はあ、ほんまにこいつかわええわ




「…ほんとかわいいっすね、男装時先輩」
「わあ!ざ、財前!」



そこには前の座席から乗り出してこちらを見る財前。






「肌が白くて」
「ざ…財前?」
「まつ毛長くて」
「……」
「女の子みたいっすね」
「…財前、苗字が聞いたら怒るで、ほんまに」
「スイマセン」




そういうと財前は頭を引っ込めた。



「…あかん」




なんかほんまに、女の子が隣いるみたいな感覚になってきた。





「(あかん、ちゃう、ちゃうで、こいつは、)」







「…ん…」







苗字が、モゾ、と動いた。一瞬、すごく懐かしい気持ちになった。この香り、この声、前に一度、本当に一度だけ












「…聞いたこと、あるような…」

「…ん…?白石君?」
「あ、すまん、起こしてもうたな、」
「ううん、大丈夫…もう着くよね」
「ああ、せやな、」









やっぱり俺は、こいつとどっかで遭ったことあるんじゃないやろか










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