心配だから




時がたつのは早いもんで。いよいよ明後日から全国大会。明日にはもう東京へ出発だ。よし、準備をしよう!




「お父さん、コンビニ行ってきてもいい?」
「ん?…ああ、明日の準備か?」
「うん、旅行用のシャンプーとか、ハミガキとか買いに行くの」
「もう夜遅いから気をつけるんだよ」
「うん、大丈夫だよ」







そういえば男装を始めてからお父さんがゆるくなった。前だったら、夜に出歩くとか不可能だったのに。たぶん木村さん(久々に登場したがうちの執事)に買いに行かせてるんだろうなあ














夜、少し暗い道を歩いて、コンビニへと向かう。暑いし、短パンにTシャツという超ラフな格好で。前だったら普通にワンピースとかはいてたんだろうけど




「…私も変わったなあ」






コンビニに入って、必要なものをカゴへいれていく。お菓子、必要かな?うーん、遠山君とか食べたがるかもしれないし、一応いれとこうかな






「…名前?」
「……へ?」




私の本当の名前を呼ぶ人って…家族と、前の学校の友達か…それとも






「…千歳?」
「偶然ばいね」




わ、千歳、千歳だ。なんか、久しぶりに見た…気がする。最近あんまりからんでなかったからな





「ひ、久しぶり?」
「はは、疑問形」
「え、えへ…」




うーん、絡みづらい(笑)







「…千歳も、買い物?」
「ああ、明日の準備たい。名前も?」
「うん、今お菓子とか買った方がいいかなって、迷ってたの」
「金ちゃんが食べるばい」
「だよね」






…なんか、名前で呼ばれると、はずかしいなあ…。なんか…なんていうか





「…カップルみたいばい」
「え!?」



ドキっとした。今おんなじようなこと、心の中で思ってたから





「ち、ちがうちがう!そんなんじゃない!」
「何むきになってると?」
「…っ」



うう、千歳の余裕さには勝てない。




「し、仕方ないでしょ、これでも、女子校出身だし…」
「だし?」
「…お、男の子とそういう経験ないし…」
「ないし?」
「て、てれちゃうの!もう!うるさいな!」
「はは、すまんばい」




なんか今日意地悪だなあ、千歳







「最近は調子よか?謙也とかにばれたりしとらん?」
「…なんで謙也かは知らないけど、ばれてないよ」
「へーえ」
「……なによ」
「なんでもなかよ」




千歳はぽんぽん私の頭をたたく。ああ、子供扱い!




「千歳、明日はちゃんと寝坊しないようにね」
「わかっとるばい、名前もこの一週間、バレないように気をつけっとよ」
「うん。ありがとう」






店を出て、千歳に手を振る。




「………」
「………」
「…早く行きなよ」
「無理」
「なんで!いつまで手振ってればいいの」
「名前が先に行って」
「え」
「こんな夜道やし、心配ばい、名前の姿見えんくなるまでここにいるたい」
「……バカ千歳」






私はグルリと顔をそむけて家の方へと帰る。暗い道だったけど、何も気にならなかった














「…ありがとう」







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