むかつき



その夜は、部屋には帰らなかった。誰かの部屋に泊めてもらおうと思ったけど、さっきの千歳の言葉にどうも気が進まなかった。仕方なく、庭に出るところの前にある椅子で一晩過ごした。ズキズキ、痛むお腹。いたい、いたい、いたい







「…う、いた、い…」





痛くて目が覚めた。椅子に座ったままだったから、体も痛い。







「…くっそ…」




なんだよ、女じゃわるいのかよ、なんだか理不尽な愚痴がつぎつぎと出てきた。仕方なく起きて、立ち上がろうとしたら、お腹が痛くて立てなかった。生理二日目、最悪だ








「…あれ?男装時?」





振り向くと、そこには謙也が。もうジャージに着替えてて、朝ごはんでも食べに行こうとしてたのだろうか。私に気づくと駆け寄ってきた。







「男装時!お前もしかしてここで寝てたん?」
「ん…」
「あほか!風邪ひくで!」
「…痛い…」
「へ?」
「お腹、痛いよお…」
「ちょ、大丈夫か?まってな、今部屋に運んだるわ」
「う、痛い、痛い、」




立てないほど痛くなるのはいつものことなのに、なぜか涙が出た。必死で謙也にしがみついて、痛い、痛いって泣いた。なんか、このときだけは、謙也の優しさに甘えたくなった。









馬鹿な女だと思った


















コンコン



「入るでー」


謙也に抱えられて、私は部屋に戻った。そこにはまだ千歳が寝ていた。




「…んあ、謙也?」
「おー千歳、すまんな起こして」
「ん、どげんした…え?男装時?」
「あー、こいつ廊下の椅子んとこで寝てたんやって。冷えたんちゃうかな、腹痛い痛いってわんわん泣きよって、」
「……男装時、大丈夫?」
「……………」





私はなんにも答えずに、ベッドにおろされた。千歳の顔は見たくなかった。だってまた、謙也に抱えられてるし、






「男装時、俺が一日看病したるで!」
「…いいよ、謙也、決勝見に行きなよ」
「あ。せや、忘れとった…」
「俺、大丈夫だし、な?」
「…なんかあったら、すぐに携帯に連絡してな!」
「ん、ありがと」




謙也は朝ごはん食べる、と言って部屋を出て行った。千歳と二人だけの部屋。気まずい。




「男装時」
「…………」
「男装時」
「…………」
「…名前」
「………何」





私は振り向かず、返事だけした







「……あのな、」
「わるかったよ」
「え?」
「わるかったって。私が間違ってた」
「名前?」
「私女だって忘れてたもん、今だって、謙也の優しさに甘えた馬鹿な女だ」
「…そこまでいっとらんって。ったく、腹、冷えたと?布団かけなっせ」
「うるせえな馬鹿!冷えてねえよ!」
「…口、悪か。女の子やけん、そげん言葉づかい、」
「うっさい!生理痛だよ!悪かったな女で!もうどっかいけよ!」







私は千歳に枕を投げつけて、布団の中に潜った。なんで、こんなに理不尽になってるんだろ。なんかわかんないけど、変にイライラしてしまった。もう、なんで、なんでよ、ばか



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -