青春時代



とりあえずタオルとかキーパーとかいろいろ荷物をホテルまで運んできたんだけど、もうかれこれ1時間半。皆が帰ってくる気配はない。あれ?なんかほかに試合とかあったっけ?どうしよう、と悩んでいた時、ガチャ、と部屋のドアが開いた。






「あ、みんなおかえり!」
「すまん男装時!一人でさみしかったやろー」
「ちょ、ひっつくなよ謙也、気持ち悪い!」
「き、きも…!」




帰ってきた途端抱きついてきた謙也に放った一言は、なんだか予想以上に効いている様子。





「はは、苗字キツいわ」
「白石君」
「謙也もデリケートなんやで」
「俺、男に抱きつかれる趣味ねえし」
「はは、せやな。あ、遅なってほんまゴメンな、金ちゃんが越前君と試合やりたい言い出してん」
「え、試合もう終わってたんだろ?」
「特別にやらしてもらったわ。一球勝負やったんに、めっちゃ続いてなあ」
「へえー、すごいな…」
「ま、とりあえず」














「マネージャー、ありがとな」









白石君から差し出されたのは、手。気がつけば周りにみんないて、みんな、あったかい笑顔だった。








「…あ」







そうだった。これで、もう皆、引退…








「…あ、りがとう…」






なんだか何とも言えない気分で白石君と握手を交わす。その瞬間、小春が勢いよく抱きついてきた





「もー男装時!そないに辛気臭い顔しんといてー!」
「わ、小春っ苦しい…!」
「アタシらも、男装時も、よう頑張ったんや!それでええやないの」
「…うん、」








そうだよね、準決勝だって、すごい結果だ。皆もがんばってたし、うん、…私は、








「…がんばれたのかな、わ…俺も」








危なかった、私って言いそうになった








「ん、苗字は最高のマネージャーやったで」
「白石君…」
「お、俺は男装時がおったからがんばれたんやで!!」
「謙也…」
「男装時はなーめっちゃかわええから、ほんまに目の保養にもなったわー」
「小春!浮気か!…まあ、マネージャー業への取り組みは認めたるわ」
「小春にユウジ…皆、ありがと…」








うお、なんか涙出てきた。ボロボロと。









ああ











これが青春ってやつか





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