君しかいないんだよ



それから千歳と手塚君の一騎討ちが始まった。…本当にシングルスみたいな試合だなあ。でも、試合を見てて改めて思った







「…千歳って、すごいね」





独り言だったはずなのに、隣にいた白石君が少しだけ笑った気がした。





千歳の試合の最中、私はなんだか頭の中が空っぽだった。ハイレベルな試合過ぎて、頭に入ってこないのか、考え事が多すぎるのか、よくわからなかったけど。でも、なんだか、涙が出そうな試合だった。ひたすら無心でスコアを書き続けて、気づいた時にはもう試合は終わってて。















負けだ。四天宝寺の。








もう、夏が終わったってことだ









千歳が試合を終えて、ベンチへ戻ってきた。なんか知らないけど、なんかよくわかんないけど、ただただ千歳に言いたいことばっかで、ただただ、涙が流れるばっかで、








「あ、男装時、試合ちゃんと見ててくれたと?…タオル、もらってよか?」
「バカ」
「え?」
「バカバカバカバカ」
「…あの、男装時さん?」
「バカ!千歳のバカ!」
「…男装時、」















「…ばかぁ…退部したんじゃ、ないのかよ…」






「…すまんばい、どうやら退部できてなかったみたいばい」









私は思わず苦笑いする千歳に抱きついた。そりゃあもうガバっと。みんなの視線を感じた。もちろん白石君の視線も。千歳はポンポンと私の頭をなでながら抱き返してくれた。でもかまわなかった。だって、だってさ









千歳がいなくなったら、名前がどっかいっちゃうんじゃないか、って、思ったんだ。私を知ってるのは、千歳しかいないからさ、











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※千歳夢ではありませんすんません



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