かっこいいよ




「はあ、はあ、」




運動不足の足をひたすら動かして、私は買い出しに行った。ああもう!マネージャー失格だよう!



ピロロン



「…あ、謙也だ」



謙也からメールがきた。え、石田君の試合…めっちゃ激しいで…へえ、そんなに白熱してるんだあ。




「じゃあ早くドリンク持ってかないと」




私はバタバタ走った。ああ、暑い、疲れた…





ピロロン



「また謙也だ」




それから数十分後、また謙也からメールが入る。…師範、あかん?え、もしかして、ピンチ?




私はやっと会場の入口につき、コートへ向かった。急げ急げー!






ドン!



「わあ!」
「おわ、スマン…って、男装時やん!」
「…てて、謙也?」
「あ、買い出しお疲れさん」
「ああ、謙也はなんでここに?石田君の試合は?」
「あかんかったわ、師範の手首やられてなあ、ほんま惜しかったっちゅー話や」
「そっか…ていうか、怪我って!私いってくるね!謙也どこいくの?」
「ああ、俺は野暮用。」
「・・?、そか、じゃあまたな!」





謙也どうしたんだろ?俺はバタバタ走り、やっとコートへ着いた。






「石田君!!」
「ん?」
「だ、大丈夫!?」
「ああ、買い出しいってはったんやな、」
「うん!!て、手は?」
「大事ない」
「そ、そうか…よかったあ…」



はあ、と息をつくと、手に持ってた袋を誰かにとられる。




「え」
「少し休んどき、汗だくやん」
「白石く、」
「ええからええから」





白石君は、服の裾で私の汗を拭うと、石田君のドリンクを作りに行ってくれた。や、優しい…きゅん




「ふああ、疲れた…」
「男装時ー!何処行ってたのよー!」
「こ、小春、暑い暑い!買い出しだよ!」




ドカっと抱きついてきた小春を振りほどく。後ろでユウジが浮気か!死なすど!とか言ってるし。この二人…ほんとどんな時でもこれなんだなあ…




ピタ




「ひゃっ、つめた…!」
「はは、びっくりしたん?これ飲んどき、」



そこにはペットボトルを持った白石君がいた。これ…ポカリ…?





「…これ、わざわざ買ってきてくれたの?」
「ああ、ついでやしな」
「ごめん、お金、あとではらう」
「ええって、そんくらい」




白石君は、作ってきたドリンクを石田君に渡した。うん、どこまでも完璧だ、彼は







「っぷは!生き返るー!次の試合は頑張って応援しよう!」
「はは、元気やなあ」





白石君の隣で、次の試合が始まるのを待つ。すると、掲示板にダブルス1の名前が表示された。





「…え?」





そこには千歳千里という名前が。会場もざわつきだす。だって、千歳は、






「え、…やめたんじゃ…」





困惑した中で、渡邊先生のいつもより大きい声が響いた





「千歳ー、はよこんかい、出番やで!」




その視線の先には、千歳がいた。あ、千歳…あんなとこにいたんだ、全然気付かなかった…




「まだ大会途中や、退部なんて認めてへんで。外の世界見るんは手塚と勝負してからでもええやろ」




千歳はその言葉に戸惑ってるようだったけど、謙也の一言でなんかの決心がついたようだった。…あ、謙也の野暮用って…





「…これか…」








ちょっとはかっこいいとこあるじゃん!




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