ヘマした



ご機嫌だ。ご機嫌、過ぎた。そういえば、今は準決勝の真っ最中。千歳のこともあるし、ちょっとうかれすぎてた。



「…っていうか…」




今日も小春とユウジはお笑いテニスを楽しんでいる模様。あの二人には本当に驚かされるなあ。私、あんなテニスする人初めてみたもん。でも、見てるうちに、戦局が悪い方へ行っているのは、私でもわかった。ギュっと柵に置いた手に力を入れる。手に汗握るとはまさにこのことだ。そんな私を安心させるかのように、その上に手を置いたのは、意外にも謙也だった。




「…謙也?」
「大丈夫やって、大丈夫」
「…お、おう。…そだな、」




謙也は、私のことを本当によく見てるなあ、と思う時が、ある。もしかしたら、私が知らない私のことも、知ってるような、気がする。気がするだけだけどね。だって私のことほんとにいつも見てるんだもん。怖いくらいに



あ、



そんなことを考えてるうちに、試合が終わってしまった。ああ、負けちゃったのか。…でも、なんだか小春たちも青学の子たちも、仲よさそう…







「って、何さわやかに終わっとんねん」





白石君がとなりでつぶやいた。確かに。



「小春、ユウジ、おつかれさん!」


私は二人にタオルを渡し、飲み物を準備した。




「…あれ?」




粉が、ない。ドリンクの粉。
私、昨日買わなかったっけ…






「どうしよう、」
「どないしたん?苗字」
「あ、白石君…なんかドリンクの粉足りなくて」
「そらあかんな、」
「まだ試合残ってるし、…どうしよう、」
「せや、スコアは後輩に書かせるし、買い出し行ってき」
「え、いいの?」
「仕方あらへんやろ」
「ごめん」




うう、ヘマしたなあ。せっかく、皆の試合なのに…。とりあえず、早くいこう!




「じゃあ、ちょっと行ってくるな。小春たちのドリンクはここにあるから」






急げ!

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