ばくばく
「はあ、はあ」
駆け足で、トイレへ戻る。髪も服も、元に戻す。私はあっというまに本の姿に戻った
「…はあ、緊張したあ…」
まだ心臓がバクバク言ってた。白石君が、会いたかったって、言ってくれた、どうしよう、どうしよう…
「うれし…」
涙が出るほどうれしくて、でもこうもしてられない、次の試合が始まっちゃう!
走ってベンチへ戻ると、謙也が犬みたいに近づいてきた。
「男装時ー!腹大丈夫なん!?ずっとトイレにいたんか?」
「ごめん、ごめん。ずっとトイレに近いとこで試合見てたんだよ!ちゃんとスコアもとってるし」
「もう大丈夫なん?」
「うん、大丈夫。」
ベンチに座ろうとすると、白石君と目が合う
「あ…おめでと、白石君」
「ありがとう。腹は大丈夫なん?」
「お、おう。大丈夫!」
「そら良かったわ」
ちゃんと応援してたんだよ、俺と、私の、二人で
「…なんか、白石君…ご機嫌だね」
「ああ、今な、春休みに会った女の子が来ててん」
「え?」
「前、言った子や、名前も聞けたし、ほんまよかったわ」
「そ、そっか」
えへ