本気だよ
ガチャ
部屋に戻ると、そこには千歳がいた
「…え。なんでいるの」
「ひどかねえ」
けらけら笑う千歳にすこしイラッとしたから、私は千歳と頭を殴ってみた。グーでね
ボカ!
「いたい!」
「あほ!」
「なんね!」
「ばか!もじゃもじゃ!」
「…男装時…?」
「もう、…ばか、あほ、」
「…名前」
「なんでだよぉ…あほ千歳…」
涙が、出てきた。
「なんで辞めるなんて、さみしいこと言うの…」
千歳は一瞬困った顔をして、また笑って、私の頭をなでた。
「…すまんばい、名前」
「謝るな、ばかぁ…」
「…ごめん」
「…あほ、」
千歳はもう私に謝るしかしなくて、ああもう本当に千歳は退部したんだって思った。言葉にするとやけにあっさりしてて、自然と涙も止まってた。
「…寝る」
「…ん、おやすみ」
明日は、準決勝。本当だったら、私はひたすら皆のことを応援して、そん中でも秀でて白石君のことを応援してるんだろう。でもなんでかな、千歳のことばっか頭にあって、でももしかしたら、私もテニスに対して本気になれたんじゃないかな、って思った。選手としてではないけどね
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朝、起きたら千歳はいなかった。
「…どこいったのかな…」
千歳、今日試合、本当にこないのかな、