女々しいんだよ馬鹿




「…ゴボっ」





…寝てた…。ああ、何してんだ私…千歳のこととか、白石君に言われたこととか、いろいろ考えてるうちにうとうとしたんだな、うん




「…でよう、」





普通に着替えて、普通に女湯の扉をあける。うん、誰もいない、よし、部屋に戻ろう!






ドン!


バサッ



角をまがった瞬間、誰かにぶつかり、私は荷物を落とした。



「…あ、ごめんなさ…」
「スマン…って、苗字?」
「…白石、君…」




このタイミングで白石君って!もう神様のイタズラとしか思えなかった





「すまんな、ぶつかってもうて。顔真っ赤やん、どんだけ風呂はいっとったん?」
「あ、…ちょっとうとうとしちゃって…一時間くらい…」
「しゃーないな、…せや、一緒に涼みに行かん?」
「え…?どこへ?」
「庭、」
「…庭?」











私は白石君に手をひかれるがまま、中庭へと連れてかれた。やっぱり、東京の空は狭い。いくらきれいな庭があっても、周りのビルで空が狭められてしまっている。




「…狭いなあ、東京は…」
「せやなあ」
「あ。口に、出てた?」
「おん、出てたで」
「あ、あはは」




白石君は、穏やかな笑顔で笑ってる。さっき、私に向けた、冷たい、真剣なあの目は何処にもなかった





「…さっきはすまんな、ちょっときつく言うてもうたわ」
「え…?」
「でもな、別に俺らも千歳が心配じゃないわけやないで?」
「………」
「チームメイトやしな」
「……うん」
「あいつはもともと自由奔放な奴やし、練習にも来ない時多いし、でもあいつはアホちゃうからな、考えあっての行動やねん、せやから俺らも口出しはせん」
「……うん」
「ま、千歳がまた戻ってきたら、そんときは暖かく迎えたろ?」
「……うん」






不覚にも、ポタ、と涙がこぼれてしまった。




「…っ、ごめ…」





ゴシゴシ涙を拭いたら、白石君が私の頭をなでてくれた。





ホント、私って





「女々しいなあ、バカ」





そう呟いたら、白石君が少しびっくりした顔をしてた





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