ずっきんずきん



どーん、と前にそびえたつのは、でっかいでっかい、そりゃもうでっかいホテル。ちょっと豪華すぎやしないか?まあ全国大会だけどさあ




「…でか」
「ここが一番会場に近いんやて」
「へー…」



呆然とする私に声をかける謙也。さっきまでなんかすねてたけど、すっかり立ち直ったそうだ





「じゃ、部屋入る前にみんな注目ー」
「なんや白石」
「どないしたん?蔵りん」



「今からくじ引きやるでー」




くじ引き?白石君は鞄からくじを取り出し、その周りにみんながわらわら集まる。




「これ、部屋割決めるやつや」
「部屋割…!俺小春と一緒がええ!」
「え!部屋割!?お、おおおおおお俺は男装時と一緒で!」
「二人ともうるさいで、さっさとクジひき」




うるさいユウジと謙也をあしらい白石がくじを持って回る。私のとこにもきた。どきどき。



「次、苗字」
「あ、ありがと。白石君」




白石君の手からくじを引くときに、なんだか、白石君と目が合ってしまい、思いっきり目をそらしてしまった。あああ心が痛い…





「じゃ、みんな番号言って」




みんなが引いたくじに書かれた番号によって、部屋割が決まった。





ユウジと白石君、謙也と財前君、小春と遠山君、石田君と小石川君(そいえば忘れてた)、そんで、私と…










「…ちとせ?」
「偶然ばいね」
「………はあ、」






一緒の部屋は、千歳だった。なんか、安心したような不安なような…なんかぱっとしない結果だなあ。








「えええええちょ、ちょいまって!ち、千歳!クジ交換したろか?」
「いや、よかばい」







謙也は必死に千歳にクジを交換するように懇願している。ま、よかったのかな、誰かに正体ばれる心配もなくなって。白石君をちらりと横目で見ると、もう荷物を持ってホテルの中に入って行った。




「…興味、ないのかな…」




どうしても女心が出てしまう。白石君が、少しは私のこと気にしてくれたらなあ…と思わずにはいられない。それにしても、あの興味のなさ、やっぱり私は白石君にとって男にしか見えてないのか…








バシン!



「ぉわ!」
「何暗くなっとっと?部屋いくばい」
「あ、うん、ごめん」




千歳はホテルの中に入っていく。私も遅れずについてゆく。あ、そういえば荷物、白石君が持ったままだ










「白石君!ごめんな荷物持たせて」
「…あ、ああ、ええよ、気にせんで」
「お、おう」



白石君は私の荷物をおろして私に手渡した。…あれ?なんか違和感。今度は白石君、全く私のことみてない。目も合わせなかった。








「じゃ、俺部屋いくわ」
「お、おう」






なんで、なんか、ショックじゃん



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