世界が一変した



昨日、二年も付き合っていた彼女と別れた。好きだけど別れよう、と言われた。最初は理解できなかったけど、頭のどこかでは理解していたのだろう。俺はあっさりその言葉を受け入れた








「なあ仁王―、お前なんで名前と別れたんだよい?」
「さあのう」







目の前でガムを噛みながら俺のほうを向いている丸井。こいつも無神経というか素直っていうか、とりあえず傷心状態の俺にそんなこときくな







「またごまかして!これだから仁王は」







ぷんぷん怒りだしたので、どーどー、と丸井を落ち着かせる。いつもとあまり代わり映えのしない、部活の一部分。












代わり映えしない、はずだった











「仁王」
「…あ、柳。なんじゃ血相かえて」






ベンチに座って休憩をしていたら、参謀がいつもと違う様子で俺の方へきた。なんじゃ?










「苗字が、事故に遭った」











これが、俺と名前の第二の始まりだった。今思えば、あの時の俺は泣きもせず驚きもせず。ただ理解できなかったんだ、今度は本当に頭の奥底でも。






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