二人だけの約束
「さよなら…?」
「ごめんね、雅治くん。辛いおもいさせてごめんね」
「何いっとるんじゃ、記憶戻ったんじゃろ!?」
名前は悲しそうに笑って、俺の涙を手で拭う。もうどっちが彼氏か彼女かわからなかった
「私、雅治くんが、だいすきなの」
「…うん」
「好きで好きで、おかしくなるくらい」
「…うん…」
「だんだん、愛が歪んでいったの。雅治くんが、好き過ぎて、」
「…うん」
「私、最初の気持ちを無くしたくなかった、ずっときれいなまま、気持ちを残したかった
だから、雅治くんと別れたの」
「…ようわからん…」
「それでね、これ以上歪む前に、雅治くんを忘れようと思ったの」
「そうすれば、この気持ちは永遠に変わらないでしょう?」
つまりは、精神と体が離れるということ。人は行動によって気持ちを変えていくから、離してしまえばそれは永遠に形をかえずに残る。そういうことだ。確かに人は気持ちを変えていく。寧ろこの世に変わらないものなどないだろう。だからといって、
「なんで、こんなやり方なんじゃ…」
俺は涙をぽたぽた流した。名前は俺の頬にキスを落とし、唇にもキスを落とす。俺はそれに応じた。なんだか、最後のような気がしたから
「ねえ、もう、最後だよ。これで私の気持ちは一生かわらない。約束をしよう?二人だけの約束」
永遠に変わらない愛をつくりましょう
「二人だけの、約束だよ」