笑い愛





正直なんで俺が名前の記憶から消されたんだ、とずっと思っていた。仁王の友達だったからか?まあ別にいいけど。関係が無くなったなら、もう一度作り直せばいい、おれはそんな風に楽観的に考えていた。



「名前美味そうなもん持ってんじゃん、一個くれよ」
「仕方ないなあ、一個だよ」





名前からビターチョコをひとかけらもらう。にが、やっぱりおれはミルクがいいぜ。とか思いながら名前に目を向ける。美味しそうにビターチョコを食べてる名前。多分、なんで自分がビターチョコが好きかも覚えてねえんだろうな。ビターチョコなら仁王にもあげられるからって、食べだしたのに。なんかそんなこと思ってたら、酷く胸が痛んだ。まじで俺のこと思い出さなくていいから、仁王のこと思い出してやれよ、ジャッカルの代わりに仁王のこと覚えててやれよ、とか口が滑りそうになった






「なに?丸井くん」
「別にー」







もう俺のこともブン太って呼ばなくなった。あ、なんか悲しいかも










「…ね、丸井くん」
「ん―?」
「…仁王くんてさ、」
「……え」
「本当に私のクラスメイトだった?」
「…なに、それ」
「…仁王くん、凄く私のこと心配してくれるの。あ、自惚れとかじゃなくてね、毎日送っていってくれるし、お見舞いにも毎日来てくれてたし…」







なんだか、無性に胸が痛くなった。仁王、お前なにやってんだよ、早く言っちまえばいいのに。元カレだって。今も名前が大好きだって。なんでダメなんだよ、なんか、俺が悲しくなってきた







「全部思い出せば、全部わかる。がんばれ、名前」







そういうと、名前はにっこり微笑んだ。ああ、変わらねえな、とか思って俺も笑い返した







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