慣れが肝心
ガチャ
部室に入った感想は簡潔に述べると、汚い、だ。
「…汚な…」
「なんや?」
「べつに…」
謙也に突っ込まれたから、思わず顔をそらす
「あ、今日は持ってきてないやろ?ジャージ」
「う、うん」
「ほな今日は制服な」
「おう」
そうか…ジャージ着なくちゃいけないんだ、私ジャージすら持ってないよ。
「…わああぁ!」
「な、なんや!?」
私は思わず叫んでしまった。だってだって!皆が急に着替えだすから!
「なに顔赤くしてるん?」
「や、べつに」
わあああ!白石君も怪しげに私を見てくるよ!落ち着け自分、平常心平常心…
「なあ、ほんまに大丈夫か?顔あかいで」
「…!」
上に何も着ていない白石君が私に近づいてくる。わ、かっこいい。…じゃなくて。やだ、直視できない…!
「なあ、男装時?」
「…っ、この部屋汚い!!」
そういうと私は思い切り部室を飛び出した。
「な、なんや男装時は」
「そんなに汚いか?」
「謙也が散らかしすぎなのよ!」
.
.
「はあ、はあ」
なにしてんだ自分。これから幾度となく見ることになる男の子の裸。こんなんで大丈夫なのかな…
「ふ、苦労しとるね―」
「…あ、千歳…」
「まあ、慣れが肝心ばい」
千歳は私の頭をぽん、と叩くと部室に入っていった。…慣れか。よし、がんばろ。