気のせいでしょう











緊張したー!






私、うまく喋れたかな?本物の白石君と喋ってしまった。すごくキラキラしてて、王子様みたいで、本当に素敵な人だったな。会えてよかった。次会うときはもう男の姿だからなあ…。白石君とホモになる気はないけど、仲良くしてもらえるといいな…










「え!?男装!?」
「う、うん」









一番の親友だった友子に四月からのことを話してみた。そりゃ驚くよね。ひ、ひかれちゃうかな…







「…名前…」
「は、はいっ」
「特訓するわよ」
「え?な、なんの?」
「男装の!!」
「…え?」









なぜか友子の目はキラキラしている。それになんだか寒気が。今から何が…



































寒い冬も過ぎて、春が来た。もうすぐ転校の日だ。どきどきの毎日が過ぎてゆく。私はというと…。髪の毛をバッサリ切りました。あんまり短いのは気が引けたから、女の子にもいそうなショートカット。そして













「ちょっと名前、足内またになってるわよ」
「は、はい」







友子があたしに男装の極意を教え込んだのだ。おかげで私はせっかくお茶で鍛えた正しい歩き方や姿勢も、ガニ股というものに変えられてしまった。うう…なんてはしたない













「いい、内またで歩いてたら女ってバレるわよ?ばれなかったとしても、イジメにあうわよ」
「う……」
「で、眉毛は少し太めにかくこと。少し吊り上げてね。」
「………」
「仕方ないでしょう?アンタ背高い方だっていっても、165センチは男にとっては低いもんなんだから」
「………ハイ。」










まさか男装するのがこんなにもつらいものだったなんて。でも仕方ない、これも白石君に近づくため…!












コンコン



「名前、入るわよ」
「あ、お母さん」
「あら、友子ちゃん、いらっしゃい」
「おじゃましてます」
「名前、ほら、これ」
「…?…あ!これ、制服?」
「そ、四天宝寺は学ランだから」
「わー…ありがとう」
「それ着て、もう一回見学に行ってみたら?明後日には学校始まるしね」
「うん、そうする!」










なれない学ランはなんだか少しブカブカで、鏡の前に立ってみたら、少しだけ男の子に見えた。






「…わあ…男の子だあ…」
「まだまだね、まあ良くて女顔の男子ってとこね」
「…友子、厳しい…」









その後私は再び木村さんの車に乗って、四天宝寺へむかった。この前とは違う私、うん、なんか新鮮










「さ、つきましたよ。」
「ありがとう。今日も一人でいいから」
「かしこまりました」







私はこの前のように一人で門をくぐる。そしてこの前の記憶を手繰り寄せて、再びテニスコートを訪れた。









パコンッ







「わあ…」


いつ見てもこの光景には驚かされる。私もテニスができたらなあ。それにしても今日は白石君が見当たらない。お休みなのかな…










「君、もしかして一年生?」
「え?」









後ろから声をかけられて、振り向くと、そこには金髪の男の子。…あ、この子こないだ白石君の隣にいた人だ











「ち、違うよ。俺は四月から三年。転入生だ」







友子から伝授された男言葉を使ってみる。うわあ、なんか恥ずかしい











「そうなん!?年下かと思ったわ」
「…し、失礼だなあ」
「なんや声も高いし背も低いし、女みたいやな」
「な…っ」







ま、まさかバレた!?私は心拍数が上がって、いてもたってもいられなくなった













「おい、謙也なにさぼっとるん?」
「…あ…」










向こうから声をかけたのは、白石君だった。わあ…相変わらず素敵だなあ










「さぼりやないって。ほら、コイツ転入生らしいで。三年の」
「転入生…?」







白石君はじっと私を見つめてきた。やだ、そんなに見ないで!顔が赤くなっちゃうよ!








「…君、どっかで会ったことないか?」
「え…っ?」







どきっとした。まさか、この前のこと、白石君覚えてる…?











「…気のせいじゃない?俺ここに見学に来るの、今日初めてだし」
「あ、そうなん?俺の気のせいやな」










白石君はにこ、と笑ってそういった。よかった、なんとかなったみたい…










「せや、自分テニスに興味あるん?」
「え…」
「テニス部見学してたんやないん?」
「え…あ、あの」








金髪君の質問に戸惑った。どうしよう、なんて説明したら








「お、俺体弱くてさ、激しい運動はしちゃいけないんだ。だから…その、マネージャーとかできたらな、って」
「え、体弱いん!?」





金髪君は激しく驚く。弱くはないけど…運動神経切れてるからな…









「へえ、マネージャー希望か」
「え?」







反応したのは白石君だった





「男子のマネージャーやったら大歓迎やで」
「え…それどういう…」
「あ、しもた。もう休憩おわりや」
「え、ほんまに?」
「ああ、じゃ、またな」








白石君と金髪君はテニスコートにかけていった。…それにしても…マネージャーって普通女の子がやるもんだよね…?まさか白石君、ほ、本当に………ホモ…?





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