かわいいひと


俺が初めてキスを自分からした相手は男でした。でもそいつは女みたいにかわいいんです。肌は真っ白で。頬はほんのり赤くて、唇もピンクで、でも男なんです。キスしたとき、彼女の温かさが唇から伝わってきて、ほんまに下半身反応しそうになって、その瞬間確信したんです。俺はホモだったのだと。















「千歳――!」
「あ、謙也、なんね」
「…あほ」
「は」
「…あほ、あほ、ほんまにあほや」
「…どげんしたと?」
「俺、ホモになってもた」
「は」
「でも、後悔はしてへん。もうホモでもええんや」
「…お、落ちついた方がよかよ?ていうか、相手は?銀が相手やったら、冗談じゃすまんばい…」
「ちゃう!なんで銀に恋愛感情抱かなあかんの!」
「え、じゃあ、」
「…男装時…」











口に出した瞬間、言葉がまるで魔法のように俺を縛り付けた、そしてその瞬間、再び実感した、俺は男装時のことが好きで、恋愛感情抱いてまって、キスまでやらかしてもうたってことを












「…謙也…」
「……俺、変なんかな…」
「…ぷっ」
「なに笑てんの」
「はは、すまんばい」
「馬鹿にすんなや」
「馬鹿になんかしてなかよ。それ、普通ばい」
「…え」











千歳、お前ももしかしてホモなん?





















3時間目、謙也と苗字が二人で保健室に消えた。謙也はともかく、苗字が帰ってこない。なんだか無性に気になって、三時間目は集中できなかった。三時間目が終わると、俺は委員会の仕事で保健室へ向かった。ガラリと戸をあけると、真っ白なカーテンに真っ白な壁、真っ白な天井が目に染みた。










「…え…」






しかもベッドには少しはだけたワイシャツ姿の苗字がすやすやと寝ている。その上には、学ランが掛けられている。










「…何しとんねん」







ギシ、とベッドに腰掛ける。チラ、と苗字を見ると、無防備にすやすやと眠っていた。ほんまに女みたいな顔。そう再確認した









「…肌、白」







気づいたら俺は頬に手を添えていて、気づいたら彼は目を覚ましていて














「…あ、白石君だ…」
「…おわ!お、起きとったん!?」
「いや…今起きた…」








俺はバっと手をはなしてベッドから立ち上がった










「…あれ、ここどこ?」
「保健室やて、寝ぼけとるん?」
「…あ、そだった…って、謙也!謙也は?」
「え、おらへんけど」
「どこいったのかな、て言うか、俺寝てたんだ」
「……ぷ」
「ん?何?」
「ふ、いや、別に」












かわいい奴やなあ。




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