テストです



どんなに時間がかかっても。たとえ一歩ずつだったとしても。彼が私のことを好きでいてくれるなら、それが男の子の友情としてだとしても、幸せだと思った





















「じゃあテスト範囲配りまーす」













え、なにそれ










「え?テスト?」
「男装時、はよプリントまわせって」
「謙也、テストあるの?」
「あるで、もう中間やん」










なんか色々忘れてた。私は今まで部活になんて入っていなかったわけで。勉強する時間なんて十分すぎたわけで。
部活三昧の毎日で忘れてた。勉強というものの存在を。














「…ど…どうしよう…」
「何青い顔しとるん」
「謙也…なんかさわやかだね…」
「俺はもう捨てとるし」
「……」







そんなさらっというなよ。ちら、と白石君をチラ見すると、なにやら黙々と作業をしている。






「…白石君なにしてるの?」
「ん?ああ、数学の問題集」
「今休み時間だよ!?」
「あたりまえやろ、受験生やで」
「…じゅ…じゅけんせい…」










私の学校はエスカレーター式だからそのままヒョイと上がれるのに。世間て厳しいのね…











゛高校は元の学校に戻るんだぞ″









ふと脳裏にかすったお父さんの言葉。そうだ、わたし高校は元の学校に戻るんだった。










「…じゃあ、そんなに根詰めてやんなくてもいいのか…」
「え、なんて?」
「あ、いや、なんでもない」










謙也はふーんというと前を向いて次の授業の支度を始めた。皆もう進路決まってるのかな…






















「そりゃ、四天宝高校に進学やろ」









皆口をそろえてそう答える。





「え、白石君も?」
「ああ、せやで」
「ていうか、白石君が目指してる学校に謙也が入れるわけないだろ」
「俺推薦もらうし」
「は」
「スポーツ推薦」
「………」







なるほど、その手があったのか







「俺ら高校でもテニス続けるしなあ」
「謙也、お前少しは勉強した方がええで」
「ええやん別に」
「俺も銀も、千歳でさえ少しはやってんで」
「………」







なんだか白石君と謙也が怪しい雰囲気になってきたからその場を離れた












「…同じ高校、かあ」







私は一年だけだもんなあ。高校はもう皆とお別れってことなんだよな。









…え、待てよ、そんな一歩ずつとか言ってる場合じゃなくないか?早く白石君と仲良くならなくちゃ、高校生になっちゃうよ!





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高校を捏造。すみません。



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