ごめん



「…甘い」






コーヒー牛乳をすする私。皆はもうとっくにハミガキやらなんやらを終えて、寝る準備に取り掛かっていた










「男装時まだ飲んでたん?はよハミガキしたほうがええで」










床に座ったままコーヒー牛乳をすする私に謙也からの忠告がきた。だって、寝たくないんだもん。コーヒー牛乳飲めば眠気なくなるかなとか思ったけど、そんなの間違いだ。私の意志に関係なく瞼は今にも閉じてしまいそうになっている。











「苗字、もう電気けすで?」
「え」









白石君に頭をポン、と叩かれて、私はゴックンと最後の一滴を飲み干す。…白石君はどうやら朝から晩までかっこいいらしい。合宿じゃないと得られない情報だよね。










「…はあ、しょうがないなあ…」
「ハミガキせんと虫歯になるで」
「…はあい。」








なんか白石君お母さんみたい…とか思いながら私は仕方なく歯磨きを始める。コーヒー牛乳の味から一気にミントの味になって、なんだが逆に目がさえた。









「…千歳、もっと詰めろよ」
「ちゃんと半分スペースとってるばい」
「……あほ、巨人」
「理不尽…」







自分が理不尽なのはわかってる。でもひどいじゃない。自分のことを女だと知っている相手と同じベッドに寝なくちゃいけないだなんて。千歳なんてベッドの端っこで小さく丸まって寝てればいいのに。それで朝には床に落ちちゃえばいいのに。








「そげんひとか事いうんじゃなかよ」
「え、口にでてた?」
「ばっちり」









わたしを白い目で見てくる千歳から視線をはずしてのそのそとベッドにおさまる。…昨日の白石君の時よりも、狭い。あたりまえか、相手はあの千歳なのだから。










「おい、もっとそっち行けって」
「あほ、布団なくなるばい」
「なんで無駄にでかいんだよ」
「そげん事言われても」
「ほれ二人とも、電気消すで」









私と千歳のくだらない口げんかに呆れながら白石君は電気を消す。一気に真っ暗になる。その瞬間眠くなるのは条件反射か。









「…せまい」
「うるさかよ」
「…男装時、せせ狭かったら、おおお俺のべべベッドに来てもええんやで!」
「いや、いいよ」
「………」







途中隣から謙也に誘われたが、丁重にお断りした。どっちにしろ狭いことには変わりないし、私が女だということも変わるわけじゃないし。








「………」
「男装時」
「………」
「端に寄りすぎばい」
「………」
「風邪引くで」
「……いいもん」
「ほら、布団」










そういうと千歳は私に布団を寄せてくれた。すこしちら、っと千歳の方を見ると、またいつものやさしい笑顔で私を見ている。なんだか少し胸がきゅっとしたから少し視線をずらした。そしたら後ろに白石君が見えた。昨日は彼の隣にいたのになあ。なんか、もどかしいなあ












「……おやすみ」
























ジリリリリリ






「………んあ…」







パチ、と目を覚ますとそこには鳴り響く私の携帯と、空っぽになった私の隣。…千歳、いない。どこ行ったんだろう…










「…起きなきゃ…」





むく、と体を起こすと、何やら床に目につくものが転がっている。















「…え!?千歳!?」







そこに転がってたのは千歳だった。まさか、本当にベッドから落ちたのか?ていうか、私がけっとばしたのかな?












「お、おい起きろよ!朝だぞ!」
「……サムイ…」
「何でお前落ちてるんだよ、どんだけ寝像悪いんだよ」
「…名前が、夜中に、俺をけっとばしたけん…」
「………」
「…さむい…」
「……ゴメン。」










ゴメン、本当に。



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