全然違う



最近思った。男装時と仲がいいのは俺だけじゃない。妙に千歳とも仲がいい。あいつの交友関係に口出す資格はないけど、ちょっと不満やった









「千歳、遅いで!」
「あー、すまんばい」
「何してたん?」
「ああ、ちょっと男装時と話を」
「…へえ」
「ふ、謙也、ヤキモチはみっともなかよ」
「…な、違うわ!」






核心をつかれて、少し動揺した俺を千歳が笑う。…ほんまにみっともないわ、俺









「…あれ、男装時は?」
「先生に呼ばれた」
「あ、そうなんや」







なんや、男装時おらんのか、…せっかく一緒に風呂入れるって思たのに…って俺何考えとるんや!これじゃほんまにほほほホモやん!







「ちゃうちゃうちゃうちゃう…」
「チャウチャウ?」









男装時と同じ反応をした千歳をギロリとにらんで湯船を出る。うわ、立ちくらみ、のぼせたかな






























千歳が遅れて風呂場にやってきた。しかし苗字の姿は見えない。どこいったんやろ。異常にあいつのことが気になった。ていうか、俺は少しおかしいのかもしれない。昼間あいつに俺のテニス好きって言われてから頭ん中花畑や。なんか知らんけどめっちゃ嬉しかった。









「…あかんわ…」






ホモか俺は。あいつは男やで。千歳いわく立派なもの持ってる男の中の男やで。あいつみたいな女の子がおったらよかったのになあ。…あいつみたいな女の子…?

















『あなたがテニスしてるのが好きなんです』









ああ、そういえば春休みにそんなこと言ってきた女の子が居たっけ。ほんまにかわいらしい子やったなあ。どこの子なんやろ。名前くらい聞いておけばよかった。ほんまだめやな自分。











そうか、苗字はあの女の子に似とるんや





























とりあえず私は食堂に来て、夕飯の準備を進めた。どうやらこの別荘にはシェフがいるらしい。なんなんだこの素晴らしい夕食は。合宿とは思えなかったけど、まあそこはスルー。私はひたすら人数分の皿と箸を並べて行った。そろそろ皆戻ってくるころかな












「…む、貴様早いな」
「…あ、真田…君?」









一番最初にあらわれたのは、立海の副部長の真田君だった。たしか部長さんは入院中だっけ?大変だなあ








「ほう、この準備貴様がすべてやったのか」
「あ、うん。まあ」
「いい仕事をするな」
「あ、ありがとう」







ほめられた、予想外に嬉しい









「貴様はテニスはしないのか?」
「え?」
「テニス部に入っているのだ、テニスは好きだろう?」
「うん、好きだけど、ちょっと体が弱くてさ」
「…そうか」









いや体弱くなんかないけどね。たとえ運動ばりばりできても、女の私が皆さんに敵うわけないんだし。そんな他愛のない話をしていると、ぽつりぽつりと人が集まってきた











「…あ」
「お、仕事しとるやん、えらいなあ」
「……」







でた。謙也のイトコ!…なんか謙也の従兄にしては、妙に色っぽいなあ…。風呂あがり効果もあるのか、ものすごく色っぽい。







「…」
「風呂におらんかったから心配したで」
「な…っ」
「ほら、仕事続け」
「〜〜〜っ」










本当、謙也とは全然違う!




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