疲れた


疲れた。合宿は始まったばかりなのに、なんでこんなにも疲れたんだろう。











「…あっつ…」






そういえば今日は一日中太陽の下にいる。家に引きこもりがちな私にとってはつらすぎることだった。











「男装時!お前汗だくやん!」
「あ…謙也…」
「これ使い」
「え」





謙也はタオルを私に差し出す。いい人…。








「あ、ありがと」
「ん」









謙也とはスムーズに喋れるんだけどなあ。白石君相手だと全然ダメだ。でも昨日よりはすこしなじんだよね?そんな気がする。多分。









「…あ」







白石君が練習を終えたらしい。タオルと飲み物、渡さなくちゃ、…ていうか私ちょっと女っぽい?今ここで駆け寄って「お疲れ様っ」なんて言ったらただの女かな…










「……うーん…」
「何うなってんだよお前」
「…ん?」









考え込んでたら目の前に赤髪の男の子とハーフの男の子がいた。この練習着、立海の人だ。まだ全然名前わかんないや










「このタオル使ってもいいのか?」
「お、おう。どんどん使ってくれ!」
「はは、何かお前おもしれえな」









なんでよ。人が必死に男っぽくしてるっていうのに…










「…あ!忘れてた!」
「は?」







忘れてた、白石君!早くタオル渡さなくちゃ、もう女だとか男だとかどうでもいいや









「白石君!」
「ん?ああ、苗字」
「お、おおおお疲れ」
「お、ありがとな」
「…おー…」






なんとか白石君に飲み物とタオルを渡せた。よかった。それにしても、本当にこんな間近で白石君のテニスを見れるんだ!こないだまでは雑誌を眺めるだけだったのに、進歩したなあ





「…白石君、」
「なんや?」
「練習がんばって」
「お、おう」
「俺白石君のテニス大好き!」
「…え」








ちょっと好感度ましたかな?よし、仕事に戻ろう仕事に



















苗字に俺のテニス好きって言われた。…俺、あいつに好かれとるんか?でも呼び方はアレやしな…。ていうか、なんかひっかかる








「…うーん…」
「なんや白石、またうんこか?はよトイレいってき」
「ほんまうっさいわアホ」





謙也を放っておいて俺は再び考えた、どっかで今のセリフ聞いたような、でもあかん、思いだせへん











「はあ、あかんわ」
「なんやねんお前」







はあ、と溜息をつくと、謙也に嫌そうな顔をされた。テニス集中せなあかんのになあ









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