社会勉強
「…男装時」
「何?」
「バスの席、白石の隣座りたくなかと?」
「え…」
「…」
「そ、そりゃあ座りたいけど」
「わかった」
そういうと千歳は白石君の方に向かって、何かを耳打ちした。途端白石君の顔は赤くなり、千歳は再びこっちへ戻ってきた
「ちょっと、何言ったんだよ」
「白石が男装時のこつ男って認識させてきたばい」
「は?」
「白石の隣、安心して座ってよかよ」
「……」
…こいつ、何を言ったんだろう。でも、なんとかして少しでも白石君と仲良くならなきゃ、ここに来た意味がない!
「し、ししし白石君」
「あ…苗字」
「あの…その…隣座ってもいい?」
「え」
「あ、もう先約ある…?」
「いや、ないけど」
「あ、そか」
なんだかぎこちない会話だったが、なんとか隣の席をゲットした。やった!
・
・
「…白石君」
「なんや?」
「さっき、千歳なんか言ってた?」
「えっ」
「……?」
「いや、その」
「何?なんか変なこと?」
白石君はほんのり顔を赤くしながらうろたえる。まさか千歳、私の正体ばらしたとか?いやでも男って認識させるってことは…
「その、」
「何?」
「千歳がな」
「うん」
「苗字のちんこでかいって…」
おい
・
・
それにしても、苗字そないに男らしいんか。こんな肌白くて細くて女顔なのに。さっき千歳に言われたことを教えたら、千歳の席へ行き千歳を殴っていた。ま、十分男らしいわ。でも今では俺の隣ですやすや寝息を立てて眠っている。
「(ほんまに可愛い顔しとるなー)」
いやでも眉毛結構いかついし…でもなんや不自然な眉やな、あれ?これ書いてる…?
パチ
「ぉわ!」
「わ…っ、す、スマン!」
苗字の眉毛を触ろうとしたら、急に眼を覚ましてしまった。うわ、びびった。てか俺何してんねん
「な…何…?」
「あ、いや、眉毛いかついな思て」
「…き、気にしてんだよこれ」
「スマン」
せやな、眉毛書く必要なんてないもんな。てか俺何しとるんやろ。ただの変態やん。
「…寝てる間に変なことすんなよ」
「せんわ」
変なことってなんやねん
・
・
わあー!びっくりした!目覚ましたら白石君の顔が目の前にあるんだもん!ドキドキしちゃった!ていうか、変なことしちゃわないかは私のほうだよ…
「おい、苗字」
「ん…?」
「休憩や。サービスエリアついたで」
「え」
サービスエリア…?
「…白石、サービスエリアって何?」
「は?」
私の質問に間抜けな声で返事をした白石君。そんなに変な質問だったかな
「お前サービスエリア知らんの?」
「え…うん」
「高速道路の休憩所みたいなもんや。食事するところとかある、土産売ってる場所や」
「へえ」
「…?」
「俺、あんまり車のらないから」
いままで遠出するときは、たいてい海外とかだったし、高速道路なんてめったに使わないからなあ。よし、一つ社会勉強になったぞ