怪しい
なんだかわけがわからなかった。なんで名前で呼んだらあかんのや!謙也は下の名前でよんどるやん。そのまましばらく俺は苗字と喋る気にはなれずいつの間にか合宿の日がきた。
「…はあ」
「おはよーさん、白石!」
「…謙也…」
「なんや元気ないやん」
「…もう放っといてくれ」
「は?」
学校の正門に着くと、苗字がもう集合していた。目が合う。…あ、やっぱそらされる…
「おはよ、二人とも」
「よ、男装時!早いやん」
「なんか目さえちゃって」
謙也と苗字の楽しそうな会話が始まる。…俺なんで嫌われとるんやろ
.
.
ついにこの日がやってきてしまった。…白石君とはこの間から喋ってないし。荷物を持った白石君と謙也に挨拶をするも、つい視線は謙也の方へいってしまう
「………あ、おはよ、財前君」
「……おはようございます……」
…二年生の財前光君。…この子も少し怪しい感じなのだ。だって、私を見る目が何となくおかしい。もしかして、気付いてる…?
「よ、」
「わぁっ」
頭をわしゃっと触られたと思ったら、千歳だった
「な、なんだよっ」
「なんか難しい顔してたから」
「…………」
「なんかあったとや?」
「白石君に下の名前で呼ばないでって言っちゃった…」
「わ、」
「あと財前君が気になる…」
「ああ、あいつ鋭そうっちゃね」
「………はあ…」
私、大丈夫かなあ。ていうか、何してるのかな、自分。一体何のために四天宝寺に来たのかな
「…ホントは…」
「ん?」
「ホントは白石君に私の本当の名前で呼んでほしいんだ」
「………」
「わがままかな」
「全然」
泣くな自分、これが私が望んだ道なのだから