白石と出会う



※君の瞳に恋してるの主人公が一年生の時の、テニス部の方々との出会いを綴ったものでございます。










「最近マネージャーいじめがひどくてな。入ってもすぐやめてまう。でな、」





一年の春。俺はテニス部に入った。毎日毎日玉拾いばっかでつまらんっちゅーのが本音やけど。そんな部活の終わりの部長の話なんて半分くらいしか耳にはいっとらんかった。





「ええか!めちゃめちゃかわええ子でめちゃめちゃ頭ええ子つれくるんやで!手だされへんような子や!」




最後のやかましい部長の声は頭にはいってきた。かわええ子で頭ええ?そないな都合ええ子おらんやろ

















「…つまらんなあ…」

「おん、謙也、おもろいことないん?」

「ないわ。だいたい文化祭なんて楽しいのは上級生だけやっちゅーねん」





今日は入学して最初の行事の文化祭。あーおもろないなあ、学校抜け出して謙也とテニスやったらあかんやろか。…ええわけないな……





「あーつまらん!!」

「うるさいわ!……あ」

「なんや謙也」

「あれみてみ」

「?」






教室の窓から見えたのはグラウンドに作られたでかいステージ。なにやってるんやろ





「ミスコンやな」

「ミスコン?」

「こないだ参加者募集の紙配られとったやん」

「…ああ」

「あれ見にいかん?どうせひまやろ」




ミスコンか…あんま興味あらへんけど、まあ暇よりましか。





「それにミスコンの後漫才コンテストもあるしええやん!」

「ああ、そういえば金色って奴が出るいうてたな」

「よっしゃ、いこか」







謙也はおもちゃ見つけた子供みたいに走りだした。追いつけへんて!!一応文化祭中やったから廊下も一般人で混んどって謙也を見失いそうやった。















「…はあ、はあ」

「白石おっそいで!」

「お前が早すぎるんや!……あ」






人がぎょうさん集まっとるステージの上には参加者がズラリとならんどってもう表彰式やった。なんやねんおもろないな





『今年度ミス四天宝寺は中1にして165センチ!名字名前さんです!』






司会のやかましい声が耳につく。へえ、165ってでかすぎやろ。俺と同じくらいやん!しかもタメやなんて、どないな顔しとるんやろ









「…………………わ」

「ごっっっつかわええなあ…」






驚いたのは身長だけやなくてその容姿やった。きれーな顔しとって人形みたいで、今まででこんなかわええ子みたこともなかった。そらミスコン優勝するわなこりゃ。………………………ミスコン優勝…………?







¨めちゃめちゃかわええ子でめちゃめちゃ頭ええ子つれくるんやで!手だされへんような子や!¨









ふと思い出したのはこの前の部長の言葉。あの子が頭ええかどうかはわからへんけど、あれだけかわいけりゃむしろ手だせへんやろ。これいけそうやな







「謙也!!!」

「な、なんやねん騒がしいわ」

「あの子ぴったりやねん!」

「は?」

「マネージャーや!こないだ部長が言ってたやん!」

「ああー」






ボケボケしてる謙也は放っとこ。よっしゃ!早速明日スカウトや!


















翌日:





「ど、ドキドキする…」






彼女のクラスを調べていってみると、そこは偶然にも金色のクラスやった。ちょうどええから名字さんの事聞いてみたらこないだのテスト学年トップやったらしい。神様のいたずらや。もうマネージャーはあの子しかおらん!!






「……………あれ?」







緊張しながらもっかいクラスを除くとさっきまで席にすわっとった名字さんがいなくなっとる。あれ?





「…あ!」





廊下を見ると名字さんが歩いとる。いつの間に…よっしゃ、今しかないで…!








「名字さん!!!」







あ、あかん。声でかすぎやねん。俺の声に振り向いた彼女はたいそう可愛らしくて胸が高鳴った。









「は…初めてまして!おれ白石蔵ノ介!一年や。」

「……………」







名字さんは俺をじっと見つめて何も話さない。びっくりしてるんやろか、そりゃするわな、急に声かけられて







「急にわるいんやけど…名字さんにテニス部のマネージャー、やってもらいたいねんっ」

「………………」






言った!!!ようやったわ蔵ノ介。でも返事がない。ていうかこの子しゃべらへんなあ、緊張しすぎや









「あ、あの…名字さん…?」

「…………は?」






第一印象:べっぴん
第二印象:コワイ



人は見かけによらんなあ、て人生で初めて思た瞬間やった




















「お願いや!」

「……………」





あかん、名字さんは無反応。さっきまで可愛らしかった顔もなんや怖く見えんなあ。ていうかどないしよ






「……名字さん」

「…………………」





反応無し。もうこうなったら、無理矢理でもつれてくしかあらへん…!俺は名字さんの腕をがしっと掴み、そのまま走りだした





「……わ…っ」

「すまんなあ、部室すぐそこやから」















しばらくすると部室が見えてきて、ドアの前で名字さんの腕をはなす。その瞬間俺の頭はぼかっと殴られた。




「いった…ッ」

「……はあ、はあ」






名字さんをちらと見るとひどく疲れている様子。ついでに怒りのオーラまで…あかん、やっぱ無理矢理つれてきたのはあかんかったやろか






「お、白石やん。なにしてるん?はよなか入り」

「あ!部長!」

「な、なんや」

「つれてきました!マネージャー(候補)!」

「へ」






部長は俺の横におった名字さんを見ると、俺の手をとり、「よくやった」と泣きながら喜んだ。多分部長もこのあと名字さんの性格と容姿のギャップにショックをうけるんやろなあ。







「この子、名字名前やろ!こないだミスコンみたで〜」

「………はあ」

「ささっ中入り!今入部希望の紙持ってくるで」

「………はあ」







こうして半強制的に名字さんはマネージャーになったのだった。













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