はなしたくないよ




「じゃあ、今日も待ってる」
「ああ、ありがとう」
「がんばってね」








そういうと手塚君はテニスコートへ向かった。あたしはというと、この間の茂みに向かい、同じようにそこからこっそりコートを見つめた。なんか、ここなれちゃった











「…ここ、クローバーたくさん」










だけど四つ葉は見つからなかった。この間はどうしてすぐに見つかったんだろう。運命かな。テニスコートを見ると、手塚君が腕を組んで立っている。何をしててもさまになるなあ。素敵。ああもう、やばい、好きすぎて








「…やだなあ…」







人を愛するってこういう感覚なんだ。












「……やだ、な…」












どうしてあの時、一週間をつけちゃったのかな































「手塚君!」
「すまない、待っただろう」
「ううん、いいの!」
「…どうした」
「…え…?」
「元気がないな」
「…ど、どして?」
「いや、少し思っただけだ」
「…気のせいだよ、大丈夫」
「………」
「いこ!お腹も減ったしかえろ」









あたしは空元気で手塚君を引っ張った。少し心配そうな彼が気になる。どうしてわかっちゃうの。









「…手塚君」
「なんだ」
「…手…つないで、いいかな…」
「…ああ」
「ありがとう」











あたしは彼の手をしっかり握った。もうこの手を放したくないとおもった。強く握ってれば、繋ぎとめておけるかな。そんな甘い考えしかない自分が嫌になった












「…手、大きい」
「名前はなんでも小さいな」
「失礼だなあ、標準だもん」







ふに








また、手塚君はあたしの頬に触れた。クセだろうか。











「…お前は、かわいいな」
「……手塚、君?」










夕日が後ろからあたり、手塚君の顔はよく見えなかったけど、何だかものすごく悲しそうな顔をしているように見えた。そして同時に、二回目のキスをされた。夕日の中でキス、なんてロマンチックなのになんだか心の中は雨が降っているような、そんな気持だった







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