嬉しいよ
あたしは、隣の席の手塚君と、彼氏彼女になりました。…多分、一週間だけだけど
「…お、おはようっ」
「おはよう」
「昨日は、ありがとう」
「ああ。昨日転んだところは大丈夫か?」
「うん、ありがとう」
そういうと、手塚君はあたしの頭をポンとなでた。うわあ、かっこいい。手塚君がキラキラ光ってるように見える。
「…え、えへへ」
「名前は小さいな」
「て、手塚君が大きいんだ…って、え、名前…」
「下の名前で呼んだらだめか」
「う、ううん!どんどん呼んで!」
「ああ」
あ、また笑った。結構笑うんだ。手塚君
「あたしは、手塚君、って呼びたいな」
「…そうか」
「…いい?」
「ああ、構わない」
ずるい。あたしは今逃げた。なんとなく思ったんだ、きっと下の名前で呼んだら愛着がわいちゃうから。一週間後、自分が傷つかないように、予防線を張ったんだ。ずるい女だ
・
・
「今日は、部活なの?」
「ああ。先に帰ってても構わないぞ」
「…待ってる。」
「いいのか?」
「うん。待ちたいもん」
嬉しい。手塚君を待つことができるなんて。こんな日が来るなんて思わなかった。嬉しくて、顔がゆるんじゃうよ
「すまないな」
「いいのいいの」
「じゃあ、いってくる」
手塚君はあたしのほっぺたをまたふに、と触り、テニスコートへ向かっていった。恥ずかしい、けど嬉しい。ほっぺたふにってしてもらうの、結構嬉しい。