つらい




朝を迎えるのが、こんなにつらいなんて。学校にいくのがこんなにつらいなんて。…もうあなたの中からあたしは消えちゃうのかな














「…おはよっ」
「おはよう」








相変わらず、手塚君はあたしの隣の席に座っていた。今日も変わらずかっこいい。だけど昨日と同じように少しだけ、悲しそうだった。










「名前」
「ん?」
「今日は、部活は待たなくていい」
「…え?」
「その代わり、始まる前に少し付き合ってくれ」
「う、うん」






なんだろう、なんだか胸騒ぎがした。













もう終わっちゃうの


























「手塚君?」
「すまないな、いこうか」
「う、ん」
「なんだ?」
「ううん、別に」








手塚君は、荷物を持ち早足で進んでいく。どこへ向かっているのだろう。あたしはただひたすら彼の後を付いて行った。

















学校も桜だらけで、どこを見ても花びらが舞っていた。きれいだ、とおもった。手塚君を背中を目で追いながら、なんだか不思議な気分になった。まるで、自分が別の世界への道を歩いているような感覚だ










「…手塚君?」
「ついたぞ」
「…ここは…?」






そこは、桜の木がたくさん生えた場所で、真中にはとても大きな桜の木が生えていた。たくさんの花びらで、視界が遮られるほどだった











「…綺麗…」
「多分、学校で一番大きな桜だろう」
「すごい、すごいね」
「一緒に、見たかった」
「…え…?」
「いや、」








段々風が強くなり、手塚君が桜で見えなくなってきた。次第に、不安感が増した。視界から、手塚君がいなくなる。いや、そんなのいや、お願いいかないで









「やだっ」







がば、と抱きつくと、手塚君はしっかりあたしを受け止めてくれた。桜の花びらが、絶え間なく落ちてくる。まるであたしの恋を表現しているようだった








「やだ」




「やだ」




「…やだ」







「名前」


「やだ、いかないで」


「お願いあたしを放さないで、お願い」








「いかないでよぉ…」












これで終わりになんて、したくないの











「名前、すまない」
「え…」
「本当に……」








どうしてあなたがつらそうな顔をするの








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