財前悲恋


中2の夏、俺は人を好きになった。あのサラリと揺れる髪が好きだ。あの白い肌が好きだ。すべてが好きだ。目を離すことができなく、なった








「お、財前君、今日も練習?」







学生鞄を持った先輩がコートの外から俺に声をかけた。










「あ、先輩、今日学校きてたんスね」
「うん、今日はね。勉強しに来ただけだけど」
「なら、言ってくれればよかったのに」
「…うん、」
「…なんか、あったんスか」
「えへへ、…ちょっと直接話したいことがあって」













そんなふうに言うから


少し期待してしまった。

期待した後に崩されると、ショックがデカイってのに












「…私、白石君が好きなの」











目の前が、真っ白になって、一瞬時間が止まった気がした。いや、少なくとも俺は確実に一瞬動作を停止した。すべて、心臓以外の動作を。それほど俺は動揺したのだ







「…え」
「…財前君て、一応白石君と知り合いでしょ?…だから、少し相談のってもらおうかなって」
「…そう、ッスか…」
「あ、ごめん、嫌ならいいんだけど…」
「……」
「こういうの…財前君にしか相談できなくて、」







それほど、俺は先輩の中で大きな存在であるということなのだろうか。それは喜ばしいことなのに何も嬉しくなかった









「…全然、構いません」







ほら、笑ってくれた

















あれから数カ月がたった。夏休みも終わり、季節も夏から秋へと変わり始めていた。俺はその間ずっと先輩から相談を受けて、思ってもないようなアドバイスばかりしていた。











「今日自習室で勉強してたら白石君と目が合っちゃって」
「はは、いい日ッスね」
「でしょ?」







頬を赤く染めて、にこにこ笑う先輩がいる。先輩をこんなにも可愛くできるのは俺じゃないだなんて。なんでよりによってあの変態部長なんだ







「でさ、…」
「何スか?」
「…ほら、もうそろそろ受験も追い込みになるでしょう?…だから…」
「だから?」
「…忙しくなる前に、告白でもしちゃおうかなって」
「え」
「…財前君?」
「…あ、スミマセン」
「やっぱ、やめといた方がいいかな」
「……」
「ねえ、どうかなあ…」
「気持ちは、すぐに変わるから、大切にした方がいいと思うッス」
「…え…」
「…ちゃんと、伝えた方がいいと思います」












ああ、この言葉は一体誰に向けての言葉なのだろうか

















「…うん、そうだよね。なんか、やる気でてきた」
「…言うんスか」
「うん!今言わなくちゃ、後悔しちゃう気がする」
「………」
「じゃあ、ありがとね、私、ちょっと行ってくるね」
「…はい、気をつけて」








荷物を持って、立ち上がる先輩








あの綺麗な髪が






俺の目の前を通り過ぎた
















パシっ









「………財前君…?」












いつの間にか先輩の手を掴んでいた。先輩は不思議そうな顔で俺の方を見ていた。あたりまえだ。まさか恋愛相談していた相手が、自分のことを好きだっただなんて、一体だれが思うだろうか

















「…先輩、がんばって」











なんて、残酷なんだろう












最後に見た先輩の笑顔はいつにもまして綺麗で、不思議と涙が出た












夏風様へ!
財前悲恋、どうでしょうか(;;)なんだかいまいちしっくりこないですが、悲恋、です!笑 お気に召していただけたら嬉しいです(^^)リクエストありがとうございましたー!遅くなってすみません!

あこ




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