はやいはやい







この子と話してて段々とわかってきたことがある。ここは日本でも、どうやらあたしのいた日本ではないらしい。あたしの通ってる高校も、使ってる駅も、何もないのだから。逆にあたしの知らない駅や学校がある。東京に青春学園なんてなかったもん









「…ねえ、あたしどうしたらいいのかな」
「ていうかお前さん名前は」
「苗字名前」
「苗字か」
「ねえ、君は?」
「仁王雅治」
「仁王君かあ。よろしく」
「よろしくするの遅いじゃろ」
「でさ、あたしどうしたらいいのかな」
「…………」








仁王君はまた黙りこんでしまった。彼もあたしがこの世界の日本人じゃないことに気が付いてきたらしい。










「…悪いけど、俺ん家は泊めてやれないぜよ」
「…ケチ」
「姉貴がうるさいからのう」
「…でもあたしお金ないし、」
「ちょっとまってろ」
「…?」






仁王君は携帯で誰かに電話をかけた。








「丸井か。今から学校近くの喫茶店にこれるかの」
「…丸井?」









丸井って誰だろう。ていうかなんで呼ぶんだろう。しばらくすると赤髪の男の子が喫茶店に入ってきてあたしたちの席に近づいてきた










「なんだよ仁王、急に」
「すまん、とりあえず座って」
「おう、ケーキ頼んでいい?」
「いいから」










丸井という人はケーキを3つくらい頼んでいた。仁王君は少しイライラしている模様。













「丸井」
「なんだよぃ」
「コイツ、俺の幼馴染の苗字名前。実は両親が借金抱えて夜逃げしたらしい。で、今住むところもないらしい。でも俺の家に住ませるのは無理じゃ。」
「………」
「で、丸井の家に住まわせてやれんかの」
「…何ソレ」









あたしもビックリな話だよ!丸井君はケーキをもぐもぐ食べながらポカンとしてるし。ていうか夜逃げって…








「別にいーけど。家に部屋余ってるし」
「え、ホントに?」
「親も多分良いって言うと思うけど」
「ええんか?悪いな」
「おう」






え、なんかあっさり決まっちゃったけど、いいのかな。











「えーっと、名前だっけ?」
「あ、はい」
「俺丸井ブン太。シクヨロ。」
「あ、よ、よろしく…」
「おう」









ますます混乱してきたなあ







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