偶然という運命
今日は朝練の日。めんどくさいのう。でも遅刻したら真田の平手打ちじゃ。それだけは避けたい。
「ちょっと雅治、黙って出ていくクセやめなさい」
「げ、姉ちゃん…」
俺はあまりいってきますを言わない。しかし今日は姉ちゃんに出ていくところを見られてしまった。さわがしいのう
ガチャ
「じゃ、いってき…え?」
「なに?」
「…姉ちゃん、玄関に人がいる」
「は?」
俺の家の前に人が倒れていた。いや、よく見ると寝ているだけか、それにしても、誰じゃこいつ。不審者か
「…え、女の子じゃない」
「え、見せて」
「ほら、…ジャージに徳川高校ってかいてあるけど、あんた知ってる?」
「いや、しらん」
「この子誰かしら」
「はっあ、朝練っ朝練行かなくちゃ!!」
「…あれ?」
急にガバッと起きたその女はマヌケな顔をして俺たちを見ていた。なんなんじゃこいつは。朝練てなんじゃ
「…あ、あれ、あたし何してるんだろう」
「大丈夫?あなたここで倒れてたけど」
「え、まじですか?すみません…なんで倒れてたんだろう」
「いや、寝てただけじゃろ」
思わずその女と姉ちゃんの会話に口をはさんでしまった。その女はこっちをギョロリと大きな目で見てきた。キレーな顔はしとるがジョートカットでしかもこのジャージ、どっかの陸上部だろうか
「……………」
「あんた、大丈夫か?」
放心状態になっているその女に声をかけてみたが彼女はぼーっと地面を見つめていた。
「…ここって、東京です…よね?」
「は?ここは神奈川じゃろ」
「…………」
本当に不審者かもしれん