恋は盲目




いつもいつも部活ばっかりして、髪の毛なんてベリーショートで、恋なんて何も興味がなかった。だけど、あたしは今、人生初の恋をした。彼の長い髪が好き、彼の白い肌が好き、彼の長い指が好き。人は危機に陥ると恋に落ちやすいってよく聞く。この異世界にきて、あたし自身すこしは危機というものを感じたのだろうか、その衝動であたしは唯一あたしの秘密を知り、支えてくれる雅治に恋をしたのだろうか。そう考えるとすこし罪悪感が生まれた。だからもう考えないことにした。教室にいても彼を目で追ってしまう。こっちを見てくれないかなと思う。そんな自分が恥ずかしくてばかげていると思ったが、それが女としてのあるべき姿なのだろうか。男なんかに振り回されず、ひたすら陸上に打ち込んで、走り回って、汗かいて、そんな開放的な自分をずっと見てきたから心底恥ずかしい。でももしも、少しは女らしくなって、雅治があたしのことをもっともっといとおしく見てくれるのなら、もっと女らしくなろうと思った。この間まで雅治はあたしのことを支えてくれる、まあ悪く言ったら都合のいい奴、だったけど、彼がくれる安心感にあたしはどうやら相当酔ってしまっていたらしい。気がつけばこのありさまだ。いつ元の世界に戻るかもわからないのに、恋って怖い。大好きな陸上にも打ち込めない、ああもう恋は盲目とはこのことなのね。





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