新しい気持ち
あたしのことを知る人はどこにもいないこの世界に来たとき、半分死んだような気分だった。だからあたしと出会い、あたしを助けてくれた雅治は本当に神様のようだった
「…お茶でよか?」
「ありがとう、手伝おうか?」
「いや、座っときんしゃい」
雅治はそういうと、キッチンへ入っていった。この人はどうしてこんなにやさしいのだろう。どうしてあたしを助けてくれるのだろう。どうしてこんなにあたしを安心させてくれるのだろう
「…雅治」
「なんじゃ」
「…ありがとう」
「……」
「いつもそばにいてくれてありがとう」
「…べつに」
雅治は下をむいたまま返事をした。
あれ?
なんだろう
なんか、ドキドキする
「名前」
「わっ」
「……?」
「ごめんっ」
「ほれ、お茶」
「ありがとう…」
お茶を受け取るときに、雅治の長い指が見えた。なんだかさらに胸がドキドキした
(何なんだろう…)