いいひと
「あれ?名前じゃん」
「えへ…おはよ」
学校に着くと、ブン太が驚きながらあたしを見てきた。まあ確かにブン太には風邪って言ってあったからな。回復力やばいよね。
「お前風邪じゃねえの?」
「あ―うん、違ったみたい」
ブン太に不審な目で見られたが、ムシムシ。
「…ていうかなんで仁王と登校?」
「あ、それは「さっきそこで会ったんじゃ」…………」
なんか雅治に遮られた。なぜ?
「………なに?」
「べつに」
雅治は素っ気なく席についた。それにしても暑いなあ。もう夏だ
「あっつ〜、ブン太うちわかして」
「今から俺使うし」
「バカブン太!ケチ!」
「お前理不尽すぎるぞ」
「名前、ほれ」
「え…いいの?」
ブン太に断られたあたしを見て雅治がうちわをかしてくれた。いい人!
「雅治は暑くないの?」
「ん」
「あたしが扇いであげようか?」
「おとなしく使いんしゃい」
「…ありがとう」
雅治ってつくづく優しいなあ。出会ってからお世話になりすぎだよ。なんか恩返ししたほうがいいのかなあ