好きだったよ誰より






窓の外を眺めていたらあたしの心をえぐるような光景が見えた。





千歳と、あのマネージャー。夏休み前まではテニス部は全員そろって下校してたけど、最近は千歳とあの子の二人だけで帰っているのだ。ああもう、涙出てくるじゃん。









「お、千歳君!やっぱりあの子と付きい始めたの本当だったんだー」
「………」
「でもあの二人お似合いだよね。どっちも背高いし」
「……ちょっとトイレ」











友達たちの会話に耐えきれずあたしは教室をでた。ひたすら廊下を走って走って、どこにこうとも思わず、ただひたすら。










ドン!








「わっ」
「おっと、…あ、名前ちゃん」
「…白石君…」










やばい、白石君にぶつかっちゃった。ていうかこんなとこ見られたら…












「泣いてるん?」
「…………」
「どっかぶつけたか?」
「………ううん」
「…千歳のことか」
「!」









バッと顔をあげると白石君はやさしく笑っていた。だから余計涙が出た。









「名前ちゃん、よく千歳とサボっとったやろ」
「……うん」
「千歳がよう話してたわ、いいサボリ仲間がいるって」
「……でも千歳は…途中から一緒にサボってくれなくなっちゃったよ…」
「ま、あの二人見守っといてや。つらいだろうけど。…いい言葉思いつかへんな」
「…はは…、ありがとね」











見守れるもんか





好きだったよ誰より
だから余計辛いんだ





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